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カロリーメイトのこと

はじめてカロリーメイトを見た時、一体何なのか分からなかった。カチッとスクエアな箱の中から出てきたのは金属質のピチっとしたパッケージ。フィルムの下から現れたのはこれもやけに四角く成形された物体。食べ物だということだったが、このまま食べていい…

シーン32

高畠は若い頃ニューヨークの大学に2年間留学していたらしい。美雪のような田舎の中学生にとってニューヨークというのは世界最先端のオシャレで遠い街というイメージしかなかった。ただ、高畠は最先端でもオシャレでもなく、安物の白いポロシャツと紺のスラ…

just qu-it

金曜日の夜に仕事が早く終わったのだが、村野は嬉しいともなんとも思わなかった。先週末は嬉しかった気がする。先週は楽しい予定があって、今週はそういうものがないというわけではない。先週も今週も忙しすぎない程度に適度な予定が入っていて、それらは全…

広告化社会の繁殖する柔らかな文体

生ぬるく柔らかな文体がネットの発展と広告のより深い浸透に伴い廃屋のカビのように繁殖している。 その文体で書かれた文章を絶対に読みたくはないのだが、不思議なことにとても疲れているときにはその文体で書かれたテキストを読んでしまう。たぶん何も考え…

狭い世界の外側の無数の専門的な広さ

パクリ問題で盛り上がるネットを見ていて、僕はコーヒーマニアのことを批判していた自分のことを恥じた。 まず、僕が持っていたコーヒーマニアに対する批判がどういったものなのか説明しておくと、だいたいは「本当はもっと別のことをしたいのに、それをする…

戦場のボーイズライフ序章「坂城」部分

-------------------------------------------------- ■ 坂城(1) -------------------------------------------------- 坂城(1) 「90歳なのに自在にインターネットを駆使して老後を楽しむおじいちゃん」というのが、今のところのマスコミの捉え方だ…

虚構として肥大した情熱とやりたいことの消失

1999年。僕は20歳で、ロバート・ハリスの「ワイルドサイド歩け」という本を読んでいた。「ワイルドサイドを歩け」というのは、有名なルー・リードの曲のタイトルだ。この本は比較的短いエッセイが集められたもので、今読み返すとなんだか若くてフレッ…

短編小説: 社説『着用トイレの普及について』

社説『着用トイレの普及について』 国内最初の着用トイレ『TON101』が売り出されてから、早くも20年が経過した。国内メーカーで着用トイレを生産しているのはIOIO,IMAXの2社。各社半年毎のモデルチェンジを重ね、今ではその薄さも1ミリを…

愛宕山ケーブル跡雪中登山日記

パズーとシータが「バルス!」と言ったとき、小学生だった当時の僕は「なんてことするんだ!」と思った。今でもそう思う。科学少年だった僕は古代のハイテクで空に建造されたラピュタに対して畏怖の念を抱いていて、それは愛おしさに近かった。もちろん僕が…

「ベイマックス」の構成とテーマ;ハートより視点転換

「お涙頂戴やさしいって素敵だね物語」ではなく、「ギークの為のアクションSF」であるという評判を聞いたので、それならと「ベイマックス」を見てきました。 この映画については4点書きたいことがあります。 1,映画のテーマは何か。 2,ロボットと人間と…

『選挙に行かない男と、付き合ってはいけない5つの理由』という詭弁の見本

「スランプってやつなんでしょうかこういうの? 最近は全然上達しない感じで、練習してもしても」 「まあいわゆるスランプってやつかな。今まで身についたことを一度全部捨ててしまってやり直した方がいいかもしれないね」 「えっ、どういうことですか?」 …

テクノロジーが権力を奪う

今日は選挙の投票日だそうですね。 昔書きかけでボツにした小説の一部を公開しようと思います。 _____________________________ 2018年4月1日グリニッジ標準時正午、インターネットが完全にハックされ、どのURLに繋ご…

オーリーという奇跡と裸足と時代

高校生のとき、どこから手に入れてきたのか友達がスケートボードのビデオを見せてくれた。まだ1990年代の半ばでインターネットはほとんど普及していなかったから、youtubeもAmazonもなかった。求める情報があれば本屋に行くか、それを知っていそうな人に…

武術が「健康体操」であるということ

前回、武術で武器の練習をするのは「邪魔者でもある武器と仲良くなる為、ひいては敵とも仲良くなり、宇宙とも仲良くなる」という話をしました。でも、そうするとこんな疑問が起こるかもしれません。 「じゃあ、別に武器ではなくても、なんでも扱いにくい道具…

一本の棒が教えてくれること。杖術と宇宙

15年ぶりに杖を触りました。それも思い立ってアマゾンで買ったのですが、たった一本の棒が面白くて仕方ないので毎日振り回していて、そうするうちに武術のことを色々書きたくなったのでこれを書いています。 念の為ですが、杖というのはいわゆるおじいさん…

貴船と仮名遣い:01

もう7年も昔、2007年のブログに僕はこのようなことを書いています。 ( http://blog.goo.ne.jp/sombrero-records/e/18350d30b1e0ad5f5a56276a2e3fd29b ) 《 そういえばこのところ豆塚の話を書いていませんが、しばらく忘れていました。 だけど、その過程…

恋人のシェア;街で声をかけた女の子が彼女のフェイスブック友達である確率

ものすごく大雑把な計算を寝ながら夢の中でしました。 京都市の人口:約150万人 年齢別人口割合を無視して全ての年齢層が同じ割合で存在する、と仮定。年齢の変域を0から100歳として、20代の人口は、 150万÷10=15万人 男女比が同じと仮定し…

goodbye:掃除機,hello:お掃除ロボ.

子供の頃、部屋にテレビがあって、それにはリモコンが付いていなかった。電源をオン・オフするとき、あるいはチャンネルを変える時、僕は手元に置いてあるグロック18のエアガンでスイッチを射っていた。ものぐさだから、というのは実は理由になっていない…

物語における時間軸方向の振動

僕が子供の頃、「マンガは絵がついているから駄目で、字の本を読むと場面を想像するから想像力がついて良い」という言説がまかり通っていました。 今もその片鱗はあると思いますし、部分的には真実なのかもしれません。 しかし、「字の本を読むと場面を想像…

カーシェアリングとラブホテル

友達の知り合いがラブホテルを経営しているというので、ここ2、3年の売り上げの増減を聞いてみたのですが、友達はそこまでは知らないということでした。 売り上げのことを聞いてみたのは、ひょっとしてカーシェアリングの増加はラブホテルの収益を減少させて…

STAP マンションポエム、広告化社会の果てで

どうやら中日新聞の記事は信憑性が怪しいようです。 間違いかもしれません。 >>>>>>>>> STAP細胞、小保方さんの騒動はとても気になっているのですが、理研が平気でウソをでっち上げて、それを「メディア戦略」と称していることに果てしない絶望感を覚えまし…

西はりま天文台訪問記05;地球人のような宇宙人さんへ

前回、鳴沢真也さんの著書「宇宙人の探し方」について、すこし書きました。「地球人に似た宇宙人を探す」という辺りから、話を再開したいと思います。 前回書いたように、「フェルミ・パラドクスならびに藤下パラドクス」「高度な文明があればたった500万…

西はりま天文台訪問記04;ドレイク方程式

観望会のホストをして頂いたのと、「宇宙人探し」のせいで、僕達の中ではすっかり「西はりま天文台といえば鳴沢さん」というイメージが出来上がりました。 家に帰ってから鳴沢さんのことを検索してみると、本を出されていることが分かり、早速注文します。 …

西はりま天文台訪問記03;宇宙人はいるのか?

観望会の翌朝は雪だった。 ロッジのチェックアウトを済ませた後、ミュージアムショップでも覗いて帰ろうと天文台北館へ行くと、天文台で作成された動画が流れていて、僕達がそれを見た時、画面では昨日の観望会でお世話になった鳴沢さんが"SETI"の話をされて…

西はりま天文台訪問記02;なゆた望遠鏡

M82銀河の中にぼんやりと見える光点は、なんと超新星ということだった。 超新星爆発。 僕が見ているのは、1200万光年の彼方、僕達が住んでいるのとは別の銀河での星の最後だ。 写真でも映像でもない。網膜に届いたその光子は、1200万光年を旅してきた、1200…

西はりま天文台訪問記01;イントロダクション

西はりま天文台へ行ってきました。 西はりま天文台には、口径2メートルの反射式望遠鏡「なゆた」があります。もしかしたら口径2メートルというのは、一桁だし、20メートル!とかいうのとは違ってあまりインパクトがないかも知れません。でも口径2メートルと…

ストレスは”貯まる”のか。

「抑圧が駄目とも限らないんじゃない?」みたいな会話が聞こえてきて、抑圧という言葉について考えました。 僕達が何かを我慢しているとき、それはしばしば「欲求を抑圧」というような表現が用いられます。そこには漢字が指し示す通り、何かをギュ〜と抑えつ…

関曠野さんのこと、仏教のこと

去年の暮れに、仁和寺でベーシック・インカムの講演会がありました。講演者は関曠野さんという方で、僕は関さんのベーシック・インカムに関する講演録を一度見たことがあるけれど、それ以上のことはどういう方なのか何も知らず、まあベーシック・インカムの…

長期休暇と海外旅行では解決しない

人類を仕事の苦しみから開放したい。と僕は結構本気で思っている(労働を否定するものではないです。嫌々なものだけです)。 社会は豊かに、科学は発展して、物もサービスも溢れかえっている。でも、それらのモノやサービスをいくら消費したところで、多大な…

変態を隠蔽することがイジメと似ていて窮屈なこと

前回の記事に痴漢と変態のことを書きましたが、ほとんど痴漢の話に終始していたので、今回は変態の方に焦点を当てたいと思います。 大人になって、痴漢と変態の多さにびっくりしたという趣旨のことを書いたわけですが、痴漢が多いことと、変態が多いことは、…