sound of.
『うっかりして甘いお茶なんて飲んだり
かっこつけてピアノなんか聞いてみたり
大人じゃないような
子供じゃないような
なんだか知らないが輝けるとき
夢で見たような大人って感じ
ちょっと分かってきたみたい』
(”大人になれば”小沢健二)
というわけで、僕は第二次オザケンブームに入ってしまいました。第二次じゃないか。何度目かは分かりませんが。21日のインスタで静かな音楽を掛けようと思って小沢健二の「毎日の環境学」を聞きなおしていたら、なんとなく全アルバムを聞きなおしてしまい、その結果彼の暗めの作品が急にとても好きになりました。
僕はもともとは「LIFE」と「刹那」以外をあまり好きではなかったのです。この2枚は明るいしポップだけど、他のはなんだか暗いなと思って避けていました。でも、やっぱりすごい良いです。
この「良いです」を言うには、恥ずかしくてすごく勇気が要りますが。
決して「かっこよく」はないし、究極にかっこ悪い部分も(やたらウォーウォー言ったり)たくさんあるのですが、でもまずそのかっこ悪い歌詞が究極に良いです。
今回、この日記を書いていることは、実は僕には結構大きなことです。
どうしてかというと、ついこの間まで僕は「歌詞なんて邪魔だ」といっていて、いかにかっこいい音楽を聴くか、ということに主題を置いていたからです。それをやめました。メロディーラインや音の置き方ではなくて、しばらく「歌詞」主体で聞こうと思うのです。
考えてみたらオザケンもそういう聞き方をしている節があって、以下は長い引用になりますが、オザケンと大槻ケンジの対談です。
(引用はじめ)
小沢「とにかく歌詞なの。そのドラマに入ろう、なの。そう聴くと、もの凄いの沢山あって・・・サザンの『C調言葉にご用心』。あれ、もう凄えグミチョコで『たまにゃあメイキン・ラブ、そうでなきゃハンド・ジョブ』なの。たまにはセックスしないと、オナニーばっかりしてるのは嫌だからって、女のとこ行って乱れ女の吐息に悶えるんだけど、純情派の俺としてはこんな事でいいのか? って疑問を抱えて悶々としてる、って曲じゃん!?」
大槻「桑田さんとか清志郎さんとかユーミンとか陽水さんとか、評価するのが悔しいけど、凄いんだよねえ」
小沢「凄いんだよねえ。ユーミンの『右手には飛行場、左手にはビール工場』なんか滅茶苦茶な(笑)」
大槻「ユーミンは確信犯だろうなあ・・・あ、言っちゃった(笑)。『ひこうき雲』も?」
小沢「うん、確信犯だよ」
大槻「陽水さんって、確信犯以上のものがある。わかり過ぎてて遊んじゃうのよ」
●馬鹿パワーって気がするよなあ。
大槻「そう、これ以上確信犯狙うのはもういいや、って感じ。だって『部屋の扉は金属のメタル』だよ? 意味同じだよ?
●ははは、鋭い!
大槻「陽水さんも自分で言ってるの、『いやあ、アレはおんなじなんですよねえ』って(笑)」
●自分で先に言わないと格好悪いもんなあ。
大槻「(笑)。森高千里さんを凄い評価してて」
小沢「うん、俺も」
大槻「主観で凄いの、彼女は。客観の自分じゃなくて、何も考えないで書いてるの(笑)」
小沢「もう超女の子パワーって感じ。森高さんは、もう理由なさそうでばっちりオッケー。ああいう風になりたい・・・自分はなれないって事は凄くよく知ってるけれど(笑)」
大槻「俯瞰の自分が居るからね(笑)」
小沢「そう。俯瞰の自分がバリバリ居るじゃん?(笑)。でも彼女には『これはなんでこうなの?』ってのが無いじゃん」
(引用終わり)(『音楽と人』94年4月号より)
それから、僕が好きなテレビ番組にNHKの「視点・論点」というのがあるのですが、これがもうすごい番組で、10分くらいの短い番組で、その10分間、なにかの専門家が出てきてひたすら一人でしゃべる、というものです。
テレビなんかとは全く無縁の研究一筋の学者、みたいな人が出てきて原稿を棒読みしたりしてシュールな回が結構あるのですが、良く聞くと話の内容はとても面白い。僕はどちらかというと話の上手な人よりも話の下手な人がなんとか喋っているという状況に信頼をおくので、この番組はとてもいいと思う。
その番組に、先日結構歳を召された作曲家が出てきて「カラオケ時代の歌謡曲論」だかなんだかという題で話をされていて、耳障りの良い音ばかり作っていていいのか、カラオケで歌いやすい歌ばっかり作っていていいのか、ということを静かに語っていました。
最初、僕は「老人はこういうことよく言うからなあ」とぼんやり聞いていたのですが、途中で急にぞっとして、完全に音楽を飾りみたいにして、本当に持ちうる良さみたいなものを自分が無視しつつあることに気付いた。人の心を動かす音なんて全然クールじゃないし、そんなものはなるべく寄せ付けないようにしていた。
しばらく、かっこいい音楽じゃなくて、良い音楽というものを探すようにしようと思う。
2007年7月14日土曜日
台風が来るというので、雨もひどいし部屋に篭って掃除したり、本を読んだり。冷蔵庫を開けるとニンニクとタマゴとバスペールエールしか入っていなかったので、ペペロンチーノとゆで卵を作ってバスペールで流し込む。
2007年7月15日日曜日
昼からWと知恩寺を見物。大きな堂の中でたまたま説法が行われていて、Wが朱印長を書いてもらっている間になんとなく聞いていると、人間は大抵地獄に落ちるけれど、今日ここでお参りしていることで地獄からクモの糸で天国に救い上げられる、とのこと、なんてありがたいことだ。
そのあと、日仏学館のパリ祭へ行って、Mくん、Kちゃん、Aちゃんと合流するもイベントが面白くないので、フランスへの航空券が当たるという抽選会が始まるまで会場を出て下鴨神社などを散策する。抽選は全部で3、400人の人がいて、商品が5,60はあったというのに僕ら5人は誰も何も当たらない。がっかりしながらパリ祭りを後にして、Aちゃん以外の4人で「祇園祭見えるかも」とKちゃんちの屋上へ行って、お酒を飲んだりする。祭りは全然見えなかったけれど、きれいに夜の京都が見えてたくさんの話をする。
かっこつけてピアノなんか聞いてみたり
大人じゃないような
子供じゃないような
なんだか知らないが輝けるとき
夢で見たような大人って感じ
ちょっと分かってきたみたい』
(”大人になれば”小沢健二)
というわけで、僕は第二次オザケンブームに入ってしまいました。第二次じゃないか。何度目かは分かりませんが。21日のインスタで静かな音楽を掛けようと思って小沢健二の「毎日の環境学」を聞きなおしていたら、なんとなく全アルバムを聞きなおしてしまい、その結果彼の暗めの作品が急にとても好きになりました。
僕はもともとは「LIFE」と「刹那」以外をあまり好きではなかったのです。この2枚は明るいしポップだけど、他のはなんだか暗いなと思って避けていました。でも、やっぱりすごい良いです。
この「良いです」を言うには、恥ずかしくてすごく勇気が要りますが。
決して「かっこよく」はないし、究極にかっこ悪い部分も(やたらウォーウォー言ったり)たくさんあるのですが、でもまずそのかっこ悪い歌詞が究極に良いです。
今回、この日記を書いていることは、実は僕には結構大きなことです。
どうしてかというと、ついこの間まで僕は「歌詞なんて邪魔だ」といっていて、いかにかっこいい音楽を聴くか、ということに主題を置いていたからです。それをやめました。メロディーラインや音の置き方ではなくて、しばらく「歌詞」主体で聞こうと思うのです。
考えてみたらオザケンもそういう聞き方をしている節があって、以下は長い引用になりますが、オザケンと大槻ケンジの対談です。
(引用はじめ)
小沢「とにかく歌詞なの。そのドラマに入ろう、なの。そう聴くと、もの凄いの沢山あって・・・サザンの『C調言葉にご用心』。あれ、もう凄えグミチョコで『たまにゃあメイキン・ラブ、そうでなきゃハンド・ジョブ』なの。たまにはセックスしないと、オナニーばっかりしてるのは嫌だからって、女のとこ行って乱れ女の吐息に悶えるんだけど、純情派の俺としてはこんな事でいいのか? って疑問を抱えて悶々としてる、って曲じゃん!?」
大槻「桑田さんとか清志郎さんとかユーミンとか陽水さんとか、評価するのが悔しいけど、凄いんだよねえ」
小沢「凄いんだよねえ。ユーミンの『右手には飛行場、左手にはビール工場』なんか滅茶苦茶な(笑)」
大槻「ユーミンは確信犯だろうなあ・・・あ、言っちゃった(笑)。『ひこうき雲』も?」
小沢「うん、確信犯だよ」
大槻「陽水さんって、確信犯以上のものがある。わかり過ぎてて遊んじゃうのよ」
●馬鹿パワーって気がするよなあ。
大槻「そう、これ以上確信犯狙うのはもういいや、って感じ。だって『部屋の扉は金属のメタル』だよ? 意味同じだよ?
●ははは、鋭い!
大槻「陽水さんも自分で言ってるの、『いやあ、アレはおんなじなんですよねえ』って(笑)」
●自分で先に言わないと格好悪いもんなあ。
大槻「(笑)。森高千里さんを凄い評価してて」
小沢「うん、俺も」
大槻「主観で凄いの、彼女は。客観の自分じゃなくて、何も考えないで書いてるの(笑)」
小沢「もう超女の子パワーって感じ。森高さんは、もう理由なさそうでばっちりオッケー。ああいう風になりたい・・・自分はなれないって事は凄くよく知ってるけれど(笑)」
大槻「俯瞰の自分が居るからね(笑)」
小沢「そう。俯瞰の自分がバリバリ居るじゃん?(笑)。でも彼女には『これはなんでこうなの?』ってのが無いじゃん」
(引用終わり)(『音楽と人』94年4月号より)
それから、僕が好きなテレビ番組にNHKの「視点・論点」というのがあるのですが、これがもうすごい番組で、10分くらいの短い番組で、その10分間、なにかの専門家が出てきてひたすら一人でしゃべる、というものです。
テレビなんかとは全く無縁の研究一筋の学者、みたいな人が出てきて原稿を棒読みしたりしてシュールな回が結構あるのですが、良く聞くと話の内容はとても面白い。僕はどちらかというと話の上手な人よりも話の下手な人がなんとか喋っているという状況に信頼をおくので、この番組はとてもいいと思う。
その番組に、先日結構歳を召された作曲家が出てきて「カラオケ時代の歌謡曲論」だかなんだかという題で話をされていて、耳障りの良い音ばかり作っていていいのか、カラオケで歌いやすい歌ばっかり作っていていいのか、ということを静かに語っていました。
最初、僕は「老人はこういうことよく言うからなあ」とぼんやり聞いていたのですが、途中で急にぞっとして、完全に音楽を飾りみたいにして、本当に持ちうる良さみたいなものを自分が無視しつつあることに気付いた。人の心を動かす音なんて全然クールじゃないし、そんなものはなるべく寄せ付けないようにしていた。
しばらく、かっこいい音楽じゃなくて、良い音楽というものを探すようにしようと思う。
2007年7月14日土曜日
台風が来るというので、雨もひどいし部屋に篭って掃除したり、本を読んだり。冷蔵庫を開けるとニンニクとタマゴとバスペールエールしか入っていなかったので、ペペロンチーノとゆで卵を作ってバスペールで流し込む。
2007年7月15日日曜日
昼からWと知恩寺を見物。大きな堂の中でたまたま説法が行われていて、Wが朱印長を書いてもらっている間になんとなく聞いていると、人間は大抵地獄に落ちるけれど、今日ここでお参りしていることで地獄からクモの糸で天国に救い上げられる、とのこと、なんてありがたいことだ。
そのあと、日仏学館のパリ祭へ行って、Mくん、Kちゃん、Aちゃんと合流するもイベントが面白くないので、フランスへの航空券が当たるという抽選会が始まるまで会場を出て下鴨神社などを散策する。抽選は全部で3、400人の人がいて、商品が5,60はあったというのに僕ら5人は誰も何も当たらない。がっかりしながらパリ祭りを後にして、Aちゃん以外の4人で「祇園祭見えるかも」とKちゃんちの屋上へ行って、お酒を飲んだりする。祭りは全然見えなかったけれど、きれいに夜の京都が見えてたくさんの話をする。