hopscotch!

 木の枝でメジロたちがはしゃぎ回っている。秋の終わりに比べて少し太ったように見えるのは冬に備えてのことだろうか。それとも僕の気の所為かもしれない。

 エジプトに帰ったAが京都に戻りたがっているという話を聞いた。自分の生まれて国へ戻って、教授だか準教授だかになった彼にどういう不満があるのか知らないけれど、「最近連絡してくるときはいつもイライラ不満ばかり言ってて、京都に戻りたいって言ってる」とスカイプの向こうでKは教えてくれた。Aは今レジデンスでウィーンにいるらしい。

 京都ではまだ雪は降らない、というと、Kはシュツッツガルドもこの頃は雨ばかりだと言った。
 どうしてAが京都に戻りたがっているのか、正直な話あまり理解できなかった。この狭く小さな街のどこにそんな魅力があるのだろう。エジプトの大学に職を得て、ウィーンで客員をするなんてその方がよっぽど素敵な生活に見える。

 戻りたいというのは多分地理的にだけではなく、時間的なものも含めての話なのだろう。僕達はそんなに沢山一緒にいたわけでもないし、ギクシャクしたところも多少あったけれど、何かとても濃密なものを共有したような気がする。僕はまだ京都にいて、相変わらず沢山の外国人に囲まれて生活しているけれど、前の世代に感じた謎の連帯感は今なくて、時間はあの頃で止まっているかもしれない。

 新年を祝う為ヘルシンキからニューヨークへ飛んでいるP達のことや、シンガポールでズバズバ言いたいことを言っているCのことや、パリで異常な明るさを発しているであろうMやA、ウィーンで飲んだくれているだろうA、ドイツで卒業制作に励むK。
 それからOはトルコでの短いポスドクを終えて、春からワシントンへ行くという。
 それぞれにそれぞれの標準時で2009年の終わりはやって来て、そして2010年なんて未来的年代はやって来る。僕はさる高名な占い師に勝手に占われていて、その人の予言通りこれから爆発的な進展を見せるだろう。2009年で準備は整った。そんなの実は最初から整っていたって話だ。