僕がベジタリアンになったわけ;その2。
前回のベジタリアンの話が途中で終わってしまったので、続きを書きたいと思います。その前に、さっそく一つ変えたことがあって、魚介類はときどき食べることにしました。それは栄養面を考えてのことです。
ベジタリアンでない人にはあまり関係のない話なので、興味のない方はしばらく読みとばして下さい。
僕がざっと本を読んだりネットで調べたりしてみたところ、ベジタリアンの食事には2つの弱点があるようです。動物由来のものは、牛乳も卵も一切口にしない、という人のことをビーガンを呼ぶのですが、ビーガン食ではビタミンB12とオメガ3系脂肪酸が不足します。どちらも人体では作り出すことのできない栄養素で、かつ細胞を作ったり神経を作ったりするのに必要なので欠かすことはできない。
ビタミンB12は残念なことに植物由来の食べ物には「人体が使用可能な形では」ほとんど含まれていない。海草だとか大豆には含まれているという記述がときおり見られますが、それらに含まれるビタミンB12はいわば活性を持たないもので僕達はこれを利用できない。ビタミンB12はほんの少ししか必要なくて、しかも僕達の体はそれを貯蔵しているので、急にビーガンになっても10年くらいは大丈夫だけど、10年後くらいに臨床症状が出る可能性があるようです。だからビーガンの人はビタミンB12のサプリを摂ることが強く推奨されている(乳製品、卵にも含まれているのでそういうものも食べるベジタリアンは全く心配ない)。
そういう推奨というかガイドラインをどこが作っているのかというとアメリカの厚生省みたいなところです。
医学的にはベジタリアン食の十分性に関するコンセンサスが既に取れているようです。一昔前は「ベジタリアンでも大丈夫か?」ということに医学的関心がおかれていましたが、それはもうクリアされて、今は「ベジタリアン食はどのように持ちいるのが医療としてもっとも適切か」という方にシフトしているそうです。
ビタミンB12の他にもう一つある弱点、オメガ3系の脂肪酸については、一部の植物油に豊富に含まれます。だから基本的にはこれらの油を食事に用いれば問題ないのですが、よく知らない油だったので当面はオメガ3系脂肪酸をたくさん含む魚はたまに食べようと思いました。そのうち油に替えるかもしれないけれど。
上述のビーガンの他に、ベジタリアンにはいろいろな種類があって、乳製品は食べるベジタリアンのことをラクト・ベジタリアン、卵は食べるというベジタリアンのことをオボ・ベジタリアン、魚は食べるというベジタリアンのことをペスコ・ベジタリアンというのですが、この呼称を用いるのであれば僕はラクト・オボ・ペスコ・ベジタリアンというようなことになってしまい、果たしてこんなことで自分をベジタリアンだと呼んでいいのか疑問になる次第です。
ただ、ベジタリアンの「ベジ」というのは「ベジタブル」のベジではありません。忘れてしまいましたが、ラテン語の「活き活き」という意味の言葉が「ベジ」っぽい感じの単語で、それが語源です。だからベジタリアンの訳「菜食主義者」は完全に誤訳で、本来「元気主義者」みたいな感じになるべきだったわけです。「元気主義」のためにはどうやら菜食がいいみたいだ、ということで菜食は取り入れられているにすぎません。もちろん今日では菜食主義というのが定着しているので、これは単なる言いがかりですが。
「理由」を書く前にまた長々と書いてしまって、せめて今日は理由の一つくらい書きたいと思う。
地球上で飼育されている牛の頭数を知っている人はどのくらいいるのでしょうか? 僕は全然知りませんでした。そんなこと気にしたこともなかった。あるベジタリアン関連の本を読んでいると世界で飼育されている牛の数が書かれていて、吃驚するくらいの数だったので胡散臭いと思って調べると、その数は正しかった。
『世界で飼育されている牛の頭数は、なんと14億頭弱です』
あんな大きな生き物が14億も。
僕達人類は60億人なので、4、5人で一頭を飼っている計算になります。実際には牛を食べない人もたくさんいるので、下手をしたら牛を食べる人2,3人で1頭を飼っている。考えてみればこれは妥当な数字かもしれない。2,3人で年間に1頭くらい食べるだろう。でも、これがどれだけ異常で、どれだけの経済的環境的負担になっているかイメージするのは簡単なことです。
たとえば、アメリカの広大な農地で作られている作物の85%は家畜のエサ用です。清潔な水が手に入らない人が世界にはたくさんいますが、人類が利用しているきれいな水の50%は家畜用です。環境問題とか飢餓の問題とか、いろいろな経済支援を考えたりしているけれど、そんなことよりこの超巨大産業をどうにかする方が先決なのは明らかです。前にも書いたけれど、1キロの牛肉を得るのに16キロの穀物が要る。1キロの肉なんてすぐになくなる。16キロの米がどれだけ持つか僕達日本人は良く知っている。エネルギーの観点から見れば、与えたエサに含まれるエネルギーの大半は牛が動いたり体温を保ったりするために使われてしまうということだ。与えたエサと同等のエネルギーが肉に蓄積されるわけじゃない。それでも肉が必要なら仕方ない。でも、肉の食べすぎで癌や心筋梗塞、脳卒中、生活習慣病をはじめとした様々な病気のリスクが増え続けているこの社会でこれだけの食肉産業を維持することは悪でしかない。
だから僕が肉を食べない理由の一つは不買運動です。
ベジタリアンでない人にはあまり関係のない話なので、興味のない方はしばらく読みとばして下さい。
僕がざっと本を読んだりネットで調べたりしてみたところ、ベジタリアンの食事には2つの弱点があるようです。動物由来のものは、牛乳も卵も一切口にしない、という人のことをビーガンを呼ぶのですが、ビーガン食ではビタミンB12とオメガ3系脂肪酸が不足します。どちらも人体では作り出すことのできない栄養素で、かつ細胞を作ったり神経を作ったりするのに必要なので欠かすことはできない。
ビタミンB12は残念なことに植物由来の食べ物には「人体が使用可能な形では」ほとんど含まれていない。海草だとか大豆には含まれているという記述がときおり見られますが、それらに含まれるビタミンB12はいわば活性を持たないもので僕達はこれを利用できない。ビタミンB12はほんの少ししか必要なくて、しかも僕達の体はそれを貯蔵しているので、急にビーガンになっても10年くらいは大丈夫だけど、10年後くらいに臨床症状が出る可能性があるようです。だからビーガンの人はビタミンB12のサプリを摂ることが強く推奨されている(乳製品、卵にも含まれているのでそういうものも食べるベジタリアンは全く心配ない)。
そういう推奨というかガイドラインをどこが作っているのかというとアメリカの厚生省みたいなところです。
医学的にはベジタリアン食の十分性に関するコンセンサスが既に取れているようです。一昔前は「ベジタリアンでも大丈夫か?」ということに医学的関心がおかれていましたが、それはもうクリアされて、今は「ベジタリアン食はどのように持ちいるのが医療としてもっとも適切か」という方にシフトしているそうです。
ビタミンB12の他にもう一つある弱点、オメガ3系の脂肪酸については、一部の植物油に豊富に含まれます。だから基本的にはこれらの油を食事に用いれば問題ないのですが、よく知らない油だったので当面はオメガ3系脂肪酸をたくさん含む魚はたまに食べようと思いました。そのうち油に替えるかもしれないけれど。
上述のビーガンの他に、ベジタリアンにはいろいろな種類があって、乳製品は食べるベジタリアンのことをラクト・ベジタリアン、卵は食べるというベジタリアンのことをオボ・ベジタリアン、魚は食べるというベジタリアンのことをペスコ・ベジタリアンというのですが、この呼称を用いるのであれば僕はラクト・オボ・ペスコ・ベジタリアンというようなことになってしまい、果たしてこんなことで自分をベジタリアンだと呼んでいいのか疑問になる次第です。
ただ、ベジタリアンの「ベジ」というのは「ベジタブル」のベジではありません。忘れてしまいましたが、ラテン語の「活き活き」という意味の言葉が「ベジ」っぽい感じの単語で、それが語源です。だからベジタリアンの訳「菜食主義者」は完全に誤訳で、本来「元気主義者」みたいな感じになるべきだったわけです。「元気主義」のためにはどうやら菜食がいいみたいだ、ということで菜食は取り入れられているにすぎません。もちろん今日では菜食主義というのが定着しているので、これは単なる言いがかりですが。
「理由」を書く前にまた長々と書いてしまって、せめて今日は理由の一つくらい書きたいと思う。
地球上で飼育されている牛の頭数を知っている人はどのくらいいるのでしょうか? 僕は全然知りませんでした。そんなこと気にしたこともなかった。あるベジタリアン関連の本を読んでいると世界で飼育されている牛の数が書かれていて、吃驚するくらいの数だったので胡散臭いと思って調べると、その数は正しかった。
『世界で飼育されている牛の頭数は、なんと14億頭弱です』
あんな大きな生き物が14億も。
僕達人類は60億人なので、4、5人で一頭を飼っている計算になります。実際には牛を食べない人もたくさんいるので、下手をしたら牛を食べる人2,3人で1頭を飼っている。考えてみればこれは妥当な数字かもしれない。2,3人で年間に1頭くらい食べるだろう。でも、これがどれだけ異常で、どれだけの経済的環境的負担になっているかイメージするのは簡単なことです。
たとえば、アメリカの広大な農地で作られている作物の85%は家畜のエサ用です。清潔な水が手に入らない人が世界にはたくさんいますが、人類が利用しているきれいな水の50%は家畜用です。環境問題とか飢餓の問題とか、いろいろな経済支援を考えたりしているけれど、そんなことよりこの超巨大産業をどうにかする方が先決なのは明らかです。前にも書いたけれど、1キロの牛肉を得るのに16キロの穀物が要る。1キロの肉なんてすぐになくなる。16キロの米がどれだけ持つか僕達日本人は良く知っている。エネルギーの観点から見れば、与えたエサに含まれるエネルギーの大半は牛が動いたり体温を保ったりするために使われてしまうということだ。与えたエサと同等のエネルギーが肉に蓄積されるわけじゃない。それでも肉が必要なら仕方ない。でも、肉の食べすぎで癌や心筋梗塞、脳卒中、生活習慣病をはじめとした様々な病気のリスクが増え続けているこの社会でこれだけの食肉産業を維持することは悪でしかない。
だから僕が肉を食べない理由の一つは不買運動です。
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