赤くて小さな生き物の謎の生活。

 コンクリートの上なんかに、ときどき赤くて小さい虫を見ることがありますが、アパートの屋上にこの間からその虫がずいぶん沢山いるので、気になって調べてみました。本当にグーグルというのは便利だと思う。「赤い小さな虫」という漠然としたキーワードを打ち込むだけで、たちまち全ては解決しました。

 この虫は、昆虫ではなくてダニの一種だそうです、タカラダニという名前で、昆虫なんかに寄生するようです。昔、捕まえたセミにこれがついているとお金持ちになれる、といういい加減なことが言われていたようなので、そこから”タカラ”ダニという名前になったとのこと。

 驚いたことに、生態はほとんど明らかになっていません。餌も、花粉を食べることは確かだけど、他に何を食べているのか分からない。オスは発見されたことがない。5月から7月にかけてだけ発生して、あとはどうなってるのか分からない。

 ただ、この虫はもともと人間の生活圏にいたものではないのに、ここ最近は目撃談というか相談が多く寄せられていて、どうやら増加している傾向にあるらしいです。人を刺したり、とくに害になることはしないので、その点は安心してもいい、だけど、潰すと赤いシミになったり、そこらじゅうにいて深いなので不快害虫ということになっています。不快害虫ってすごい人間の勝手ですね。悪いことはしないけれど、なんか邪魔、という。そんなことを言ったらもうほとんど全部不快害虫だ。なんとこの世界に存在する虫というのはほとんど全部害虫だったんですね。

 タカラダニのことはなんとなく気になるので、何匹か捕まえて調べてみてもいいかなと思います。思うのですが、僕はあまり虫が好きではないので、そういうものを入れたビンを部屋に並べておくというのはちょっとぞっとしない。

 そういえば調べている途中、京都府保健環境研究所のサイトを見つけて、その中のタカラダニの記事(http://www.pref.kyoto.jp/hokanken/mame_takaradani.html)を読みました。一通りタカラダニのことを説明した後、このように書かれています。

『 気持ち悪いと決めつけず、この季節だけに現れてくる、不思議なダニ、タカラダニ。その生態をじっくり観察してみませんか?
 新しい発見があるかもしれません。』

 なんて素敵なサイトでしょうか。これを読んだだけで、京都府保健環境研究所で働きたくなったり、京都府に住んでいて良かったと思ってしまいます。