dog.


 年末にYさんと犬の話をしたことを思い出した。どうして犬の話になったのかは良く覚えていないけれど、彼女が飼っている犬と僕の実家にいる犬が同じ種類の犬だから、きっとその辺りことがきっかけだろう。大人になってそれほどでもなくなったものの、子供の頃僕は動物がとても好きだったし、「犬は友達」というそれぞれの犬種に関する説明と、大昔に人類と犬が仲良くなった経緯を(勝手に)描いた漫画のついた本を愛読していた。だからなんとなく犬のことはそれなりに知っているような気分になっていたけれど、彼女の話を聞いていると僕は犬のことなんて全然知らないのだということを思い知らされた。考えてみれば僕は「犬は友達」以外の犬の本を読んだことがないのだから当然のことだ。

 彼女が教えてくれた事のなかで一番驚いたのは「コーギーはもともと尻尾を持っているけれど、生まれたときに切り落とす。ドーベルマンに到っては耳も尻尾も切る」ということだった。最初は彼女が冗談を言っているのか、それとも何かの噂を信じ込んでいるだけなのではないかと思った。でも彼女は真剣だったし確信も持っていた。

 その時のことをふと思い出して、ネットで簡単に調べてみるとこの写真が出てきました。http://www.geocities.jp/mt_with_dog2003/danodanmimi.htm からお借りしています。

 まさかドーベルマンがこんなに愛嬌のある犬だったとは。子供の頃、ある山に遊びに行くときは必ずドーベルマンの前を通らなくてはならなくてとても怖かった。実際にドーベルマンは強い犬だし、僕は耳の付いたこの顔でも吠えられたなら恐れたかもしれないけれど、でも印象は随分違ったに違いない。

 どうして耳や尾を切るのかというと、家畜や獲物を追うときに尻尾を踏まれたりしては困るからという古い理由がかつてはあったのだ、とコピペか何かで沢山のサイトに書いてある。だから生まれたときに切るのだと。その説明を読んだところで、そんなに高い確率で尻尾を踏まれるのだろうか?という疑問を覚えただけで全く納得できないけれど、まあ昔はそれなりの理由があったことにしても、現在では尻尾を切ったりする理由は全くない。 尻尾がないほうが見栄えがいい、みたいな謎の価値観が犬を飼う人の世界いにはあるということで、そのために、つまり犬を飼う人々の間に存在しているゴミみたいな常識の為に生まれたての犬は尻尾だか耳だかを切断されている。生まれたての子犬に麻酔はできないので麻酔のない状態で切断される。赤ん坊のときに体の一部が切り取られる痛みを体験するというのはきっと僕達が想像するよりももっと大きなダメージを犬達に与えていることだろう。

 ヨーロッパでは犬の尻尾を切ったり耳を切ったりするのをやめようという動きが起こっているそうです。そんなの運動するまでもなく当たり前のことに思えるけれど、まだこんな訳の分からないことが平気で起こっているなんて。そういうことが他にもたくさんある。