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 もう随分前に見た記事だけど、しばらくすると英語は滅びるそうです。滅びるというのはもちろんキャッチーにするための過剰表現で、その心は「ネイティブな英語話者よりもネイティブではない英語話者の方がどんどん多くなっていき、滅茶苦茶な英語が世界で流通した結果英語は大きく変形する」というもので、これはもう実際に起こっていることです。

 そういえば、僕の周囲にも英語を話す人はたくさんいるけれど、ネイティブな人はほとんどいない。ほとんどというか今現在京都にいる友達でネイティブな英語話者は一人もいない。中国人や韓国人やトルコ人やポーランド人や日本人が入り乱れて英語で会話しているとき、厳密にネイティブな感覚でそこに用いられている英語が正しいのかどうか査定する人はいない。だから必然的に僕達の運用する英語というのはネイティブなものからずれていくのだろうなと思う。だいたいの意思疎通が図れればそれでいいわけだけど。

 加えて、僕に限って言えば発音がどんどんとおかしくなっています。ドラマ「ロスト」に出てくるサイードというイラク人のキャラクターのせいだと思うのですが、僕はどうやらイラクとかあの辺りの人が話す英語の訛りが好きみたいで、気がついたら真似をしていることが多い。さらに僕がほとんど毎日会う唯一の人物であるOもトルコ出身なのであの辺りの訛りが多少みられる(たとえばthreeをトリーとかmythologicalをミトロジカルとか言うので最初は何のことだか分からなかった)。だから僕の英語は日本人のくせに中東訛りの英語にだんだんとなってきているような気がします。
 中東の人の訛りは結構日本語の片仮名音に近いような気がするから、その分余計に日本人には馴染みやすいのかもしれません。

 英語という言語は、かつてイギリス辺りがフランス辺りに300年間くらい(あまり良く知らない)支配されていたとき、その政治的劣勢によって結構な変化を余儀なくされた。弱い言語が強い言語による変性を受けるのはとても自然なことに見える。ところが、それから時代が進んで最強の言語になった今、英語は新たに、今度はその世界的ドミナント故に変化を強いられているようです。

ps本当にどうでもいいことだけど、訛りの好みのほかにも書き味の好みがあって、僕は筆記体でbetweenと綴ることがとても好きなようです。