rocket.

 14日午前10時31分、種子島宇宙センターから月周回衛星「かぐや」が打ち上げられた。僕は研究室にいて、ブラウザを立ち上げるとJAXAがネットで中継をすると書いてあったので、そこへ接続して10時くらいから中継番組を見ていた。番組は手作り感全開のものだったけれど丁寧に作られていて、それで打ち上げ数分前からはナレーションのようなものも一切なくなって、純粋に管制官の声しか聞こえなくなった。
 サン、ニ、イチ、と日本語でカウントされた後、ロケットは点火してきれいに空へ登った。僕は人事ながら不具合が起こらない様にと手に汗握る思いでそれを見ていました。
 無事にロケットが飛び立って、しばらく後に自分の精神状態を鑑みると、どうやら僕は少し感動しているようだった。今時、21世紀の初めに、けして大きくない無人のロケット打ち上げを見て鳥肌が立つとは思わなかった。でも、やっぱりそれは圧巻だったのだ。

 インターネットの中継はお世辞にもいい画質ではないし、画面だって小さい。迫力という意味でなら、何度かテレビで見たアメリカやロシアの打ち上げの方がずっと勝っていた。僕が心動かされたのは映像や迫力ではなくて、その裏に存在するはずの苦労や何かにだろう。

 僕はどちらかというと科学を好むタイプの子供だったけれど、正直なところテレビでロケットやシャトルの中継を見たってそんなに面白いとは思えなかった。それは、背後にある膨大に積み重ねられた科学者や技術者達の労力をイメージできなかったからだ。今はそこに僕が想像しきれないような努力の蓄積を感じとることができる。実際に自分で何かを作ったりしてみれば、大抵のことは見た目よりも難しくて時間も沢山かかる、ということをようやく大人になって知りつつある。子供の頃に見てもつまらなかったイルカのショーで涙を流しそうになったりしてしまう。

 ロケットの打ち上げなんてどれも似たようなものだから、僕はそういったものを見ることにほとんど興味をなくしていて、今回の「かぐや」打ち上げはほとんど偶然に見たものだった。前回打ち上げを見たのがいつかはもう覚えていない。でも、感動したのははじめてで、大人になるというのはこういうことなのかもしれないなと思いました。
広告を非表示にする