何が僕達をドライブするのか。

2007年5月25日金曜日(ひどい雨)

 英語のTA。
 そのあと言語文化の授業でロスコー・アーバックルの話を聞く。

 ロスコー・アーバックルというのはその昔大人気だったアメリカの喜劇俳優だ。今では三大喜劇王は「チャーリー・チャップリンバスター・キートンハロルド・ロイド」となっているが、本当はこれにアーバックルを加えて4大喜劇王と呼ばれるべきだった。事実、アーバックルは一時期チャップリンと人気を2分するほどの名声を得ていた。
 どうしてアーバックルの名が消えたのかというと、それはある事件のせいだ。彼はパーティーである女優をレイプして死なせたということになっている。当時の新聞はそれを面白おかしく煽り立て、ハリウッドは世間から強いバッシングを受けることになる。ただし、この事件の真相は未だ明らかにされていない。
 一旦映画界を追放されるものの、後に彼は名を変えて再び映画の世界に戻り、そして若くして心臓麻痺で亡くなった。

 暗い話だ。僕は歴史の暗い部分についていくらか考えた。アーバックルが本当に罪をおかしたのかどうかはもちろん分からないけれど、人気者や有名人と人格者という概念は明確に区別されなくてはならない。先にも名前の上がったチャップリンは堂々たる喜劇王であり、彼の批判精神はとても深いとされる。単なるコメディではなくて、それは知的な何かであり、ともすればチャップリンは聖人君子のように描写される。だが、もちろんチャップリンだって欲深き一人の人間だった。インターネットで彼の名を検索すれば、知りたくなくてもその手の情報は日本語で書かれたものの中にさえ沢山見つかる。

 そういえば先日買った「生物と無生物のあいだ」の中には野口英世博士のことも書かれていました。
 彼は『貧困と怪我を克服して医学に大貢献した偉い人』ということ日本ではなっていますが、実際にはそんなに簡単なものではありません。まず、医学上成果というものはほとんど間違いで、今となっては彼の論文には何の価値もないことが分かっている。当時は誰も検証しなかっただけだ。さらに結婚詐欺のようなことを繰り返してお金をひっぱってきたり、アグレッシブということ意外にはあまり偉人だと仰ぎたてる要素はないようにみえる。どうして僕達の国のお札には彼が描かれているのだろう。

 科学者ついでに、子供の頃の僕のヒーローの一人だったアインシュタイン博士のことを書いていかなくてはならない。
 あまり知られていないことですが、アインシュタインの最初の奥さんミレヴァはとても優秀な物理学者でした。彼が特殊相対性理論と光量子論ブラウン運動の論文を発表した奇跡の年1905年、ただの特許局員だったアインシュタインは彼女と一緒にいた。結婚したのは実に奇跡の年の2年前1903年だ。だからアインシュタインの業績にはミレヴァの力が関与しているというのは確かに短絡だ。でも、それはとても自然な推測に見える。
 ミレヴァとアインシュタインは学生時代からの付き合いで、結婚前に子供ができたと言われているが、その子供は歴史に登場しない。アインシュタインは外に愛人を作り、ミレヴァの悪口をそこらじゅうで吹聴していたと言われている。そして後にミレヴァと離婚して愛人の一人と結婚する。後にミレヴァは心を病んだと言われています。
 悲しい話だけど。