ehs.

 以前簡単に電磁波過敏症について触れました。そのとき多分僕はどうしてみんな「科学的には電磁波との因果関係が証明されていない」というのか疑問だということを書いたと思います。書いてないかもしれませんけれど。電磁波との因果関係を調べるなんて朝飯前に見えるからです。
 もしかすると、すでに「科学的に」因果関係のあるなしが判定されているかもしれないので、たぶん健康関係では一番たくさんの情報収集をしているように思えるWHOのサイトを単純に見てみました。WHOでもプロジェクトを立ち上げて電磁波問題に取り組んでいる様子で、すぐにファクトシートが見つかります。

 WHO、電磁波過敏症に関するファクトシート。

 この中からconclusionsの一部を引用すると

 Conclusions
EHS is characterized by a variety of non-specific symptoms that differ from individual to individual. The symptoms are certainly real and can vary widely in their severity. Whatever its cause, EHS can be a disabling problem for the affected individual. EHS has no clear diagnostic criteria and there is no scientific basis to link EHS symptoms to EMF exposure. Further, EHS is not a medical diagnosis, nor is it clear that it represents a single medical problem.

電磁波過敏症候群の症状は人によって様々である。それらの症状自体は紛れもなく存在しているし、場合によってはとても深刻なものになる。発症すればまともに生活できないということになりうる。電磁波過敏症候群にははっきりとした診断基準もないし、電磁波を浴びることが本当に症状を引き起こしているのかどうかの科学的な根拠はない。それから、電磁波過敏症候群というのは医学的な診断ではないし、体にどこか悪いところがあってこういった症状が出ているというわけでもない。
(訳責 横岩)

 やっぱり電磁波を浴びることが症状を引き起こしているのかどうかは科学的に分かっていないみたいですね。どうしてだろう。症状が重篤でない患者さんに協力してもらって、電磁波を当てたり当てなかったりブラインドテストをすればすぐに因果関係の有無は分かるはずだ。いろいろな国でそれなりの研究機関が調べていて因果関係が科学的に分かりませんというのは一体何故だろう。僕には信じがたいことです。

 本当に誰もこれくらいのことをしていないというのなら、これくらいのことは僕がしようかと思う。

 動物実験だとか、病理学的なアプローチがたくさん取られている様だけれど、もしも本当に電磁波を浴びて困っている人がいるのであれば先に因果関係だけでもはっきりさせておかなくてはならない。本当にそういった病気があるのに病院に行っても「気のせいじゃないですか。ストレスとか」みたいにあしらわれているとしたらたまったものではありません。かつて人類は本当に存在している病気のことを見逃して偏見をたくさん生み出してきました。これは史実ではないけれど、僕は子供のときドラえもんで、そうか、と思う話を見ました。のび太の祖先である少年がドジなので村人からまぬけ呼ばわりされていたのですが、「近眼で何も見えていないからだ」ということに気がついたドラえもんが眼鏡をあげた瞬間、その少年は急になんでもバリバリこなすようになるという話です。たぶん当時のその村には近眼の人が他にいなくて、近眼という概念が存在していなかったのだと思う。僕はそれを見てちょっとぞっとしました。村人はみんな、その少年にも同じように物が見えているはずだと思い込んでいるし、少年の方もそう思っているはずです。誰かが近眼という概念を発見しないかぎり、その溝は絶対に埋まらない。誤解だけがどんどん積もっていく。あの人は近眼でこれが見えないからこれができないのだ、という理解ではなく、間抜けだからできないのだという理解しかされない。
 僕達は自分の感じている主観的世界を他の人々と共有することができない。故に毎日たくさんの誤解が生まれているはずだと思う。そういうことはできれば少ない方がいい。