巻き毛犬の幸福な一日。

 コーンフレークだとか、ああいった朝食のシリアルが「栄養満点」を謳うことが長らく理解できませんでした。コーンフレークって、別にただのトウモロコシじゃん、トウモロコシってそんなに栄養あるかあ? 牛乳はまあ分かるけれど。というのが正直なところで、コーンフレークって、大好きだけど、でもすごい胡散臭いなあ、とずっと思っていました。

 それで、疑問を解消するのはとても簡単なことで、原材料を見れば良いわけです。
 シスコーンの原材料を見てみると、

【原材料】コーングリッツ(遺伝子組換えでない)、砂糖(三温糖)、
蜂蜜、食塩、乳糖、麦芽エキス、モルトシラップ、
香料、乳化剤、酸化防止剤(ビタミンE)、ビタミンC、炭酸カルシウム、
ピロリン酸鉄、ナイアシン、ビタミンB6、パントテン酸カルシウム、
ビタミンB1、ビタミンA、葉酸ビタミンB2ビタミンB12、(原材料の一部に大豆を含む)

 ビタミン入れまくってますね。
 そりゃ栄養バランスもいいだろうな。
 でも、これはもう食べ物というかサプリメントじゃないか。と僕は思います。

 僕ははっきりいって現代の栄養学を信頼していなくて、サプリメントみたいなものは摂らないようにしています。食べ物に入っている「命の源」って、ビタミンとかアミノ酸とか、そんな物だけじゃないだろうしもっと現代科学の知らない要素が絶対に含まれているに違いない。

 本当はよく分からないのに、誰かが儲けるために自信満々な情報が流れる。
 
 これは僕がとてもよく引く話だけれど、昔読んだ筒井康隆の小説に地球ではないどこかの星がでてきて、その星には地球人がたくさん移住している。そこでは栄養バランスの完全な食べ物を合成することができて、それを人々は食べているのですが、段々と、痙攣して死んでしまう、という病気が流行るようになり、その原因はどうやら地球のように大地から採れた野菜や肉を食べていないからだ、ということが判明する。つまり、なんというか「生命エネルギー」みたいなものが合成された食べ物には入っていないわけです。

 この話のオチは、地球からやってきた宇宙船がものすごい大歓迎を受けて、宇宙船の乗組員たちは大喜びするけれど、でも星の人々がどうして騒いでいるのかというと、乗組員というフレッシュな肉が来たためだ、というものなのですが、僕は高校生のときに読んだこの話を忘れることができない。

 これは単なる小説に過ぎない。でも、食べ物には今の科学ではみつかっていないエネルギーが入っているかもしれない、と考えるのは実にまっとうなスタンスだ。

 それに、こういったものは所詮企業の戦略でもある。
 今はアミノ酸が流行っていて、『アミノサプリ』というドリンクがありますが、振り返れば何年か前まで『サプリ』という商品名のドリンクはビタミンが入っているのがウリだった。

 人間というのは健康なんて大事なものまで、所詮は企業の食い物にされてしまうものなのだな、と思う。

 この数年、もっとも大きく人々が搾取されている可能性のあるものが、言うまでもなく携帯電話だ。携帯はマーケットが大きくて、パワーがあるのでいろいろなものが飲み込まれていく。

 最近僕は携帯電話のことなんてすっかり忘れていたのですが、今日図書館でパリティという科学雑誌のバックナンバーをぱらぱらとめくっていて、ひさしぶりに携帯電話に関する記事を目にしました。

 その記事で取り上げていたのは2004年の終わりにEUの研究機関が発表した結果で、低周波だろうが高周波だろうが、電磁波は細胞に悪影響を与えDNAを切断する、という恐ろしいものでした。
 僕達の日常では、もっとも端的になにがいえるのかというと、つまり携帯電話の使用は体に悪いということです。携帯と同じ帯域の電磁波で実験して、実際に細胞のDNAが切れているのだから、これはもう確実に体に悪い。これから探っていくことは、じゃあどれくらい体に悪いのか? ということであって、体に悪くないかもしれない、なんて可能性はもう消えた。
 携帯電話は体に悪い。

 日本というのは自由に見えて結構言論の制限があって、実は2004年にEUがこのデータを発表したとき、日本のマスメディアはこれを報道しませんでした。BBCもニューヨークタイムズも報道しているけれど、日本ではニュース23でも読売でも朝日でも流さなかったらしいです。

 ちょっと話はそれますが、日本が全然自由ではなくて情報が統制されているということは、未だにこの国にある公安がシンボリックに物語っています。
 公安ですよ。公安警察。戦中に「天皇なんて」とか「戦争負けるかもな」とかどこかでうっかり口にしたならしょっぴいていくような、あんな感じの組織が今の日本にはまだ存在しているんです。
 たぶん、あまりみんな知らないんじゃないかと思う。まだまだ民衆は政府の監視下に置かれていて、日本に言論の自由があるなんて妄想にすぎない。

 どこの国でもそうなんだろうけれど、政府と企業が癒着していて、国が発表する「科学的な」調査の結果というのも信用できない。BSEの調査組織を政府が作ったけれど、それはもう科学の名前を政府が借りたい、というだけのことで、『プリオン説はほんとうか?』を書かれた福岡伸一教授の発言なんかをみていても、その組織がいかにいい加減なものか良く分かる。福岡教授はその委員会のあり方が科学的ではなくて政府に科学のお墨付きを与えるためのものでしかない、ということで委員会をお辞めになった方です。

 BSEのことは分からない、というのが今の最先端科学の立場なのに、牛肉を売るために大丈夫だと無理矢理言っている。これはほとんど全ての日本人が理解している。
 携帯電話も、何もかも本当は同じことだ、携帯の使用が人体に影響しない、なんてことは絶対に言えない。それどころか明らかに悪影響はある。でも、もう後退できないというだけのことだ。体に悪いけれど使う。リスクは未知数だけど。

 携帯に限らず、たくさんの電子機器、電気製品が電磁波を放出している。たいがいは多かれ少なかれ有害で、でも僕たちはそれを使わないわけにはいかない。タバコを吸うと肺癌になる確率が有意にあがるけれど、でも好きな人は喫煙をやめない、というのと同じことだ。
 でも、できるところはカットしていこうかなと思う。

 なんだか、前回の投稿と似た流れになった。