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定住時代の終わり;HOUSEから「ubiquitous bNs」へ

 トレーラーハウスを買おうと思っているという話を聞いたのと、物件を見に久しぶりに不動産屋へ行ったのが合わさり、住む場所について色々考えたり思い出したりしている。
 僕は今のところは賃貸で物件を借りて1年とか2年、普通にそこへ帰る生活をしているけれど、本心としてはどこかに定住したいとは思っていなくて、可能な限り色々な場所に住みたい。それもホテルに数日滞在するみたいに、今日からここに数日ないしは数週間いて、そのあとは別の場所に移動するというような生活がしたい。別の場所というのは別に遠くでなくても構わない。同じ町の中での移動でも構わない。そういうことを思うのは僕だけではないし、これからそういう生活をする人が増えると思う。
 
 「家へ帰る」というのが嫌だ。
 家がどこかに固定されていて、自分が夜になったらそこまで戻らなくてはならないのが苦痛だ。
 今下北沢に住んでいるけれど、横浜みたいなちょっと離れたところで飲んだり食べたりしたら、もう帰るのが面倒になる。でもホテルに泊まるとお金も掛かるし、電車に1時間乗れば帰れるわけだから、普通はわざわざ家に帰る。そういうのがとても嫌だ。
 家がいつも自分の傍にあればいいと思う。
 それがとても便利なホテルなのかテントみたいなものなのかキャンピングカーみたいなものなのかは状況によると思うけれど、これからそういう時代が来る。決まったところには帰らずとも、ちゃんとくつろげるスペースがどこででも確保できるという時代が来る。家と会社という二箇所のアンカーから解き放たれる時代。もちろん気に入った場所に何十年と住み続けるということも選択はできる。

 大都市が抱えている問題の1つは、疲れても気楽に休む場所がないということだ。
 なんとも不便な事実だが、人間は活動していると疲れる。
 旅行先の大都会でスターバックスに入ったまま、もうとりあえずこのままホテルに戻って寝てしまいたいと思ったことは誰だってあるのではないだろうか。
 真夏のショッピングで、店から店へと歩いて汗だくになってしまって、本当はもう帰ってシャワーでも浴びたいと思いながらスターバックスの中で汗が引くのをなんとか待っているみたいなことも誰もが経験しているのではないだろうか。
 いつでもどこででも、休息とシャワーが手に入ればどんなに自由だろうか。
 
 家、ホーム、の定義は色々あると思うけれど、僕は「1,快適で安全な睡眠が取れる。2,身体の洗浄が可能」という2点に絞りたいと思う。つまり、Bed & Shower。B&Bではなくて、B&Sだ。
 シャワーという単語を使ってしまうと厳密には問題がある。身体の洗浄はシャワーでなくても行うことができるし、モビリティを追求するとシャワーでは大袈裟になるかもしれない。が、ひとまずシンボルとしてシャワーという単語を採用しよう。
 B&S。
 なんとなく今っぽくないので、&はnに変えてしまってBnS。
 字面がボテッとしているので大文字小文字入れ替えてbNsとしよう。
 
 21世紀の半ばは、”HOUSE"を"ubiquitous bNs"で置き換える時代になる。
 そして1万年という人類の定住時代は終わり、再び大移動時代がやってくる。
 家族の形も国家の形も今とは全然違うものになるだろう。
 キャンピングカーの売上が伸びていること、アウトドアブームが定着したこと、シェアリングエコノミーの発達はその予兆だ。