円と長方形(円面積の直感的証明)

 昨日、ツイッターで「円の面積を求める公式を忘れた」という感じの記述を見かけました。そして、なんともお恥ずかしいことに、はじめて「どうして円の面積はπr^2(円周率×半径rの二乗。「^」という記号で何乗を表しています。)で求まるのだろう?」と疑問に思いました。
 円の面積公式は小学生の時に暗記して、いかにも自明なことになっていたので、導出を考えたことがなかったわけです。僕は塾講師もしているし、子供に数学を教える機会はたくさんあったのに、なんと昨日まで全く思いもよらなかった。自分でそのことに愕然としました。
 公式の導出自体は高校で積分を習うときにやっています。xy平面で原点を中心とした円の式を、第一象限だけ積分して、あとで4倍するようなやり方で計算したと思います。
 しかし、その方法は”積分を信じるなら”ということで、あまり直感的とは言えません。

 さて、πr^2を改めて見てみると、その実にシンプルな形につい納得してしまいます。
 特に、r^2というのは、面積が長さの二乗の次元なので、対称図形の面積を表すのにぴったりしすぎていて、そのせいで余計に疑問を持ち難くなっています。
 しかし、直感的理解の為にはここはばらさなくてはならないでしょう。なぜなら、面積を直感的に理解したいのであれば、我々が寄って立つものは長方形の面積しかないからです。つまり「縦x横」です。「長さx長さ」です。
 だから、

 πr^2 = π x r x r = (π x r) x r

 のような感じに、「辺の長さが(π x r)とrである長方形の面積」と円の面積公式を読み換えます。

 ここでは、それらしい説明を書いていますが、実はこんなことを本当に考えたのではなくて、実際には「円の公式って、そういや?」の直後にいきなり下の写真の落書きをしています。
 でも、この「式の区切りを勝手に変えて、式の読み方を、意味の汲み出し方を変える」というのは、僕が物理学をやっていて学んだとても大事なことなので、無理矢理このようにここで紹介しました。

 それで、「じゃあ、本当にそんな長方形と円の面積が一緒なのか?」というと、下の写真で一目瞭然なように、一緒なわけです。
 (数学屋的にいいのか分からないけれど物理屋的にはOKだと…)

 これは、以前紹介した『トーラスと円柱』にまったく同じ論法ですね。




直観でわかる微分積分
岩波書店