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僕達に自由意思はあるのか。その3。

 随分と時間が経ちましたが、前回は人には果たして自由意志なんてあるのだろうか、ということを書きました。前々回もそうで、自由意志について書くのは三回目ということになります。
 実際のところ、これは僕がもう十数年気にしていることなので、このブログにも時々書いているかもしれません。

 人に自由意志があるのかどうか、というのはとても古い問題で、たくさんの人々がこの問いを問うてきました。

 中でも絶対に無視することのできない研究は、アメリカのベンジャミン・リベット(Benjamin Libet)によるものです。彼の主著「マインドタイム」によせられた序文から少し引用します。

「リベットは人々に、彼らが選んだ任意の時間に手首を動かすことを求めた。参加者は、時間を示す動く点を見て、彼らが手首を曲げようと決めた正確な瞬間(に点がどこにあっったか)を心に留めておくように求められた。彼らは実際に運動を始める約200ミリ秒前に意図を持ったと報告した。リベットはまた、脳内の「準備電位」を計測している。これは(運動の制御に関わる)補助運動野からの活動記録によって明らかにされた。この準備電位は実際の行動の開始におおよそ550ミリ秒も先立って生じる。従って、運動を生み出す脳内事象は、実験の参加者当人が決定を下したことに気づくよりも約350ミリ秒前には起こっているということになる。この時間のずれが、特定の時刻に気づき報告するのに要する時間のせいだけではないことをリベットは報告している」

 つまり、僕達が体を動かすとき、動かそうという意図を持つよりも早く脳ではその動きの準備が始まっているということです。水が飲みたくてコップに手を伸ばすとき、コップを取って水を飲もう、と思うよりも先に脳ではコップへ手を伸ばす動作の準備が起こっているかもしれない、ということです。

 これって、尊厳を持って生きていきたい人間としては困りますよね。実は体が完全に全自動で動いていて、それに僕達の方で「こうしたいからこうする」という”思い込み”を一瞬後から乗せているだけだなんて。
 
 でも、もしかしたら本当にそうなのかもしれません。
 今日は簡単にリベットを紹介しただけで終わります。

 その4へ。 

マインド・タイム 脳と意識の時間
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岩波書店


「意識」とは何だろうか―脳の来歴、知覚の錯誤 (講談社現代新書)
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講談社