無水トイレ
先日ツイッターで「無水トイレというのに初めて入った。きれいだった」というような事を書くと、すぐに友達から「汚かったよ」という反応が帰ってきた。聞けば場所も同じ難波だったから、たぶん同じ型式のトイレだろう。汚い、綺麗、という2つの状態があったということは、論理的に考えてそのトイレは汚くなるということだ。僕が見たとき偶然掃除直後か何かだったのだろう。
無水トイレというものの存在を、僕はこのときに初めて知った。男子用のトイレで用を足そうとすると、壁に「このトイレは無水トイレです。水は流れませんが清潔に保たれるようになっています。水資源の節約に私達は努めています」と書いたステッカーが貼りつけてあり、僕は少し奇妙な気分でトイレを使った。一体どうやって清潔さを保っているのだろうか? 表面のコーティングが超撥水になっているのだろうか?いや、光触媒か? 弱い紫外線を照射していて殺菌と同時に光触媒で汚れを分解しているのだろうか? それとも電圧が掛けてあって汚れと細菌が泳動するようになっているのだろうか?
清潔を保つようになっている最新式の便器です。と言われても、不特定多数の人が放尿する水の流れない便器の中を眺めるというのは気持ちの良いものではない。でも仕組みが気になるので少しだけ眺めない訳にも行かない。
ざっと見たところでは超撥水ではなさそうだった。電極らしきものもない。紫外線を照射してるような雰囲気もない。一体どうなっているのだろう?
後で調べてみると話は至極単純だった。
便器の表面には別になんの工夫もなされていない。
工夫されているのは単に排水口のトラップだけだった。トラップには比重の軽い特殊な液体が入っていて、それが尿の表面を完全の覆い匂いを防ぐという仕組み。
さらに、「今までトイレが臭くなっていたのは尿のせいではなく、尿と水道水の成分が反応していた為だ、尿だけなら臭くならない! 水アカも付かないし汚れない!水を流さないという素晴らしき逆転の発想!」みたいな感じのこともいくつか書かれていた。
僕にはとてもこれで「清潔を保つようになっている」とは思えないですが、そういうことだそうです。
取り敢えず、これを「OK!清潔だ!」ということにして話を進めると、この無水トイレには想定外の問題がありました。
ツイッターで友人が「汚かった」と返事をくれたわけですが、その汚いというのは別に「おしっこ臭くて汚かった」というのではなかったようです。そうではなくて、人体に由来する縮れた繊維が落ちていて汚かった、ということでした。
なるほど。
そのリプライを読んだ時に、僕はすごい盲点を突かれた気分になりました。
あまり尾籠な話は書きたくないけれど、こうしてトイレの話を書いているのはそのときのインパクトが大きかったからです。
僕は「男子用の小便器で清潔さを保つ」という問題を、勝手に「オシッコで汚れないようにする」という風に読み替えていました。他の要素を完全に排除していた。でも、実際のところ小便器の中には他の「汚れ」も落ちてくる。不可抗力として落下する縮れた毛だけではなく、唾や痰を吐く人もいる。そういった当然のことを僕はすっかり忘れていた。
この便器を開発したエンジニアの人たちは多分このことに気付いてはいただろう。でも、もしかしたらた最初は気付いていなかったかもしれない。
どちらにしても、自分の思慮の浅はかさを思い知りました。
無水トイレというものの存在を、僕はこのときに初めて知った。男子用のトイレで用を足そうとすると、壁に「このトイレは無水トイレです。水は流れませんが清潔に保たれるようになっています。水資源の節約に私達は努めています」と書いたステッカーが貼りつけてあり、僕は少し奇妙な気分でトイレを使った。一体どうやって清潔さを保っているのだろうか? 表面のコーティングが超撥水になっているのだろうか?いや、光触媒か? 弱い紫外線を照射していて殺菌と同時に光触媒で汚れを分解しているのだろうか? それとも電圧が掛けてあって汚れと細菌が泳動するようになっているのだろうか?
清潔を保つようになっている最新式の便器です。と言われても、不特定多数の人が放尿する水の流れない便器の中を眺めるというのは気持ちの良いものではない。でも仕組みが気になるので少しだけ眺めない訳にも行かない。
ざっと見たところでは超撥水ではなさそうだった。電極らしきものもない。紫外線を照射してるような雰囲気もない。一体どうなっているのだろう?
後で調べてみると話は至極単純だった。
便器の表面には別になんの工夫もなされていない。
工夫されているのは単に排水口のトラップだけだった。トラップには比重の軽い特殊な液体が入っていて、それが尿の表面を完全の覆い匂いを防ぐという仕組み。
さらに、「今までトイレが臭くなっていたのは尿のせいではなく、尿と水道水の成分が反応していた為だ、尿だけなら臭くならない! 水アカも付かないし汚れない!水を流さないという素晴らしき逆転の発想!」みたいな感じのこともいくつか書かれていた。
僕にはとてもこれで「清潔を保つようになっている」とは思えないですが、そういうことだそうです。
取り敢えず、これを「OK!清潔だ!」ということにして話を進めると、この無水トイレには想定外の問題がありました。
ツイッターで友人が「汚かった」と返事をくれたわけですが、その汚いというのは別に「おしっこ臭くて汚かった」というのではなかったようです。そうではなくて、人体に由来する縮れた繊維が落ちていて汚かった、ということでした。
なるほど。
そのリプライを読んだ時に、僕はすごい盲点を突かれた気分になりました。
あまり尾籠な話は書きたくないけれど、こうしてトイレの話を書いているのはそのときのインパクトが大きかったからです。
僕は「男子用の小便器で清潔さを保つ」という問題を、勝手に「オシッコで汚れないようにする」という風に読み替えていました。他の要素を完全に排除していた。でも、実際のところ小便器の中には他の「汚れ」も落ちてくる。不可抗力として落下する縮れた毛だけではなく、唾や痰を吐く人もいる。そういった当然のことを僕はすっかり忘れていた。
この便器を開発したエンジニアの人たちは多分このことに気付いてはいただろう。でも、もしかしたらた最初は気付いていなかったかもしれない。
どちらにしても、自分の思慮の浅はかさを思い知りました。
限界デザイン (TOTO建築叢書) | |
三宅 理一 | |
TOTO出版 |
マッターホルンの空中トイレ―女性登山家が語る山・旅・トイレ (TOTO BOOKS) | |
今井 通子 | |
TOTO出版 |