Magic and all.

 ピクニックへ持っていくようなポータブルラジオのスイッチを久しぶりに入れてみた。電池は入っていたみたいだ。FMのDJが話し始める。いつの間にか夜は9時を過ぎて、外は真っ暗で、机のスタンドライトと間接照明だけの部屋。窓際にラジオを置くと、流れているのは只のおしゃべりなのに感傷を強く煽られる。ポータブルラジオの安いスピーカーから出てくる音は知らないはずの何かを懐かしく思い出させる。

 ああ、この旅は気楽な帰り道
 のたれ死んだところで本当のふるさと
 あー、そうなのか、そういうことなのか

 って遠い昔にヒロトが歌ってた。

 一昨日街を歩いていたらおじいさんが通りに倒れていた。彼は頭から血も出していて、立ち上がることもできないみたいだった。女の子が一人、それから男の人が2人老人の周囲にしゃがみ込んで様子を見ていたので、僕は本当のところ通り過ぎても良かったのだと思う。でも僕は気が付くと119をコールしていた。老人が倒れて頭を打って立ち上がれないというのはシリアスなことだし、無駄になったとしても早く対応したほうがいい。救急車を待つ間に、彼はどうにか座って、耳が遠くて僕達の言うことは分からないものの比較的しっかりした言葉を口にした。救急隊がやって来て、全てを任せると僕達は何事もなかったかのように解散した。
 彼は多分大丈夫だろう。通りを歩きながら、人々の行動が白血球みたいだと思う。普段は偏在していて、傷口から細菌が侵入しようとすると集まって戦うような。普段はまるで無関心な通行人が有事の際には即席のチームを組み、目的が達成されるとまた人ごみの中に戻っていく。道路というのは血管に似ているのかもしれない。ティッシュを差し出してくれた高校生の女の子や周囲のお店の人、それから僕達はT細胞で、救急隊はマクロファージ。チラッと見たり無視して通り過ぎていく人々は赤血球血漿。電話をすれば救急隊がやってくるというシステムにはみんなの税金やテクノロジーが使われている。無視する人々も実は今ここで起きていることを支えている。あの人は医療機器の部品を作っているかもしれないし、この人は携帯電話の会社で経理をしているかもしれない。
 僕達は全くのバラバラに見えて、実は統合されたシステムを潜在的に持っている。

 グーニーズという映画が好きだ。
 バンプ・オブ・チキンの天体観測という曲のPVが好きだ。
 子供達がカバンに荷物を詰め込んで、コートを羽織り外へ出て行くのは心地が良い。戻る場所なんて本当はいらないんじゃないかと思う。帰れなくなってもいいから行きたいところが本当はあったんじゃないだろうか。
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「お前は無理だよ」と言う人の言うことを聞いてはいけない。

もし、自分で何かを成し遂げたかったら、出来なかった時に、
他人のせいにしないで、自分のせいにしなさい。

多くの人が、僕にもお前にも無理だよ、と言った。
何故なら、彼らは成功出来なかったから。

途中で諦めてしまったから、
だから、君にもその夢を諦めてほしいんだ。
不幸な人は不幸な人を友達にしたいんだ。
決して諦めては駄目だ。

自分の周りをエネルギーにあふれ、
しっかりした考え方を持っている人で固めなさい。
自分の周りを野心であふれ、プラス思考の人で固めなさい。
近くに誰か憧れる人がいたら、その人にアドバイスをもとめなさい。

君の人生を考えることができるのは君だけだ。
君の夢が何であれ、それに向かっていくんだ。

NBAマジック・ジョンソンから黒人の子供達への言葉より」