ソフトバンク。

 ソフトバンクの孫さんは16歳のときにアメリカへ留学している。「竜馬が行く」を読んだ影響だとかで日本の高校をやめて向こうの高校へ行き、大学もなんとかというアメリカの大学に入って、2年後にカリフォルニア大学に編入している。実に身軽だ。高校を途中でやめてアメリカの高校に行ってもいいかもしれない、と思う辺りが凡庸ではない。僕は高校生の頃一時期「大学はMITに行きたい」ということを言っていて担任に呆れられたけれど、今から考えてみれば自分で色々調べてそうすれば良かったのだと思う。思っても何もしないところが凡庸だったなと思う。もちろん人間関係とか色々な理由もあったわけだけど。

 20歳の時、孫さんはそろそろ仕送りに頼るのは悪いと思う。普通ならアルバイトで生活費を稼ぐところだけど、彼は「アメリカに来たのは勉強するためだから、起きている時間の99パーセントは勉強に使う」という決意のもと、1日5分で月に100万円稼ぐ方法を考える。それは発明で稼ぐというもので、毎日5分だけ時計のベルをセットして1日1個の発明を考える、という生活を1年続けたらしい。1年後200個くらいの発明がノートに記され、そのうち2個、翻訳とゲームに関わるものを選んで売り込みを掛け3億円を稼いだということだ。

 こういう話を聞くと、視野の広さということを再認識する。それとかやろうと思ったことをちゃんと続けることとか。

 僕達は日本人だし、日本にずっと住んでいたいと思う人もたくさん居るわけだけど、国の中に閉じこもった生き方というのはいい加減終わりになってもいいのだろうなと思う。僕は実際にとてもドメスティックな生き方をしてきて、反省も随分たくさんある。
 特に進学や労働ということに関して、日本は情報がとても閉じているのだろうなとも思う。日本語というバリアがあるためか、それとも地政学的な問題か、とりあえず国内で流れる情報の大半は国内のことだけに特化していて、まるでその外なんてないみたいになっている。普通、先進国の企業に履歴書を出すときには年齢も性別も書かないし顔写真も貼らないってみんな知っているんだろうか。年齢や性別や外見が判断の要素に入るのは差別以外の何ものでもないということが、履歴書用にきれいな写真を撮るサービスがあるくらいのこの国で理解されているとは思えない。労働市場を見ている限り、日本も北朝鮮みたいに情報統制のある国と変わらないなと思う。