swim.

 小田龍一選手が昨日の日本オープンで奇跡的な優勝をしたらしい( http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20091019-00000001-dal-golf )。
 僕はゴルフにはあまり興味が無いので、記事をなんとなく読んだだけだけど、コースを外れた打球が1万7千だか8千人いたギャラリーのうち、たまたま小田選手の奥さんにぶつかってコースに戻ってきて、そして彼は初めての優勝を飾った。ちなみに奥さんの名前は優子さんだそうです。
 鳥肌が立つ位にすごい話だと思う。

 そういえば、僕の父も昔はゴルフをしていた。あくまで趣味でだけど、独自のスウィングで雑誌にも載ったことがあるし、家の中でも良く素振りをしていたから、随分熱心だったのだと思う。子供の頃僕も打ちっぱなしに連れて行って貰ったことや、日曜の昼間に何が面白いのかさっぱりわからないゴルフの中継を父が見ていたのを良く覚えている。
 何年か前に、父は単身赴任で1年間北海道へ行っていて、そして帰ってくるとゴルフはすっぱりやめていた。代わりに高そうなマウンテンバイクとロードバイクを持って帰って来て、休日に遠くまで出掛けて行くようになった。それとか山に登ったり。

 考えてみると、元々父は山に登ったりすることが好きだったから、ゴルフをしているよりも自転車や登山の方がしっくり来る。そして、ゴルフでは僕と共通の話題にならないけれど、自転車や登山ならパーツや道具の話ができなくもない。考えてみれば僕が子供の頃は一緒にサイクリングもしたし、川や海や山へ行ってちょっと変わったことも一緒に良くしてもらった。その頃使っていた携帯ストーブとコッヘルのセットを僕はいまだに使っている。そうして思うに、野外遊びというのはかなり沢山の人にとって、生涯変わらぬ楽しさを提供してくれる遊びですね。

 遊びとは言っても、僕は山川海でそれぞれ一度づつ結構怖い思いをしている。山では登っていた崖が崩れて落下し、海と川では一度づつ溺れかけた。崖から落ちたときと川で溺れたときは怪我はするだろうけれどなんとかなる、と思えた。でも海で溺れそうになったときは死を意識した。まだ小学生で、海は深く、シュノーケルから飲んでしまった水は気管に入って来た。僕はむせて余計に水を飲み、激しくむせたせいで水中眼鏡の中にも水が入った。水面から顔を出してもむせるせいで呼吸が苦しいし、顔の半分を覆う水中眼鏡の中に水が入っているせいで水面から顔を出した感じが全然しなかった。水だらけの水中眼鏡越しに見た陸地の景色を今も覚えている。それはあっちの平和な世界だった。僕は兎に角パニックを起こさないように自分に言い聞かせて、むせて呼吸が苦しくても水面に顔を出していれば多少なりとも酸素は入ってくるから大丈夫だ、そうしてゆっくり陸に向かって泳げば、やがてむせるのも収まるだろうと、なんとか足の着くところまで泳いだ。足の着くところで一休みして呼吸を整え、そのまま陸へ上がると溺れかけたことを両親に悟られると思ったので、また暫く泳いでから何事もなかったかのように陸へ戻った。

 今思えば、あんなに全力で自分の体を見張りコントロールしようとしたことはない。海水に反応してむせる気管にむせるなと命じ、水中眼鏡に溜まった海水が洗う目に閉じるな見ろと命令し、酸素が足りないという体に休むな泳げと命じて、それはそれなりに成功した。きっとヨガの達人みたいな人々はこういうことがもっと簡単にできるのだろうなと思う。