選挙。

 30歳になって生まれて初めて選挙に行った。18年振り、通っていた小学校に足を踏み入れて変な気分だった。投票場が設けられていた体育館は僕達が使っていた物ではなく、いつの間にか新しく建てられた物だった。それは僕が給食に出た枇杷の種を植えた校庭の端と、それから茶畑を潰して作られていた。周囲に新しい道ができたり、細い道がなくなったり、夜の7時半に見る小学校はまるでどこかの知らない小学校みたいだった。くっきりとした田舎の月明かりに見る運動場は思ったよりも広く見える。閉場時間間際、人気のない体育館を後にして、昼間に来たら誰か同級生にでも会ったのだろうかとぼんやり思う。

 昨日の日記にも書いたけれど、投票よりもむしろ裁判官の国民審査に行ったというほうが気持ちとしては強い。那須、涌井両裁判官に不信任を付けてきました。

 「えらぼーと」で試したところ、最も意見の一致がある政党でも54パーセントしか僕とは意見が一致しないし、さらに分散がとても小さいのでどこの党に入れたいというのははっきり言ってなかった。どこの党も半分くらいはいいなと思うことを書いているし、半分くらいは「えっ」と思うようなことが書いてある。結局のところ、自分で出馬でもしない限り、既製の政党の中からどれかを選ぶというのは妥協の塊になってしまう。
 それでどこに入れたのかというと、多くの人と同じように民主党に入れました。無効票になるようなことを最初は書くつもりだったけれど、一人で無効票を作ったって意味はないし(組織的に、みんなで堀江貴文とか小泉純一郎とかって名前を20%くらいの人が書けばそれはそれで何かが変わると思う)、今回政権交代は起こった方が絶対に面白いとは思うから、小選挙区、比例共に民主に入れた。ぎりぎり自民が逃げ切りました、みたいなことになっても煮え切らないですから。

 ただ、選挙でかなり妥協してどこかの党に入れるというのはあまり気分のいいものではないし、選挙に行ったことを少しだけ後悔しています。回りには「なんとな自民を避けて民主」の人と「大政党に偏るのもどうかと思うから小さいところにもバランス良く入れた」という人しかいなくて、これが果たして本当に「意見」なんだろうかと思った。
 僕は、もしもみんながどこの政党の意見もあまり気に食わないなら、選挙に行くのをやめて投票率をうんと下げる方がいいのではないかと思うのです。あるいは無効票が続出するようなことを。投票率が一桁ならば、そのとき国会のことをもう国会と呼ばなくていい。そして新しい議会を立ち上げたりしたら面白いと思う。今の国会の中での政権交代ではなく、全く新しい国会への政権交代

 初めての選挙で吃驚したのは、本人確認が行われないことです。僕はてっきり免許証なんかのIDと照合するのかと思っていたら、実家に届いていた紙を渡すだけであっさり投票用紙が貰えてとても驚いた。ネットでの投票を行わない一つの理由に本人確認があったと思うけれど、現行の投票システムの方がかなり怪しいのではないかと思う。これなら僕は同年代の男に自分の選挙権を売ることだってできるし、各年代の男女を数人ずつ雇って投票代行ビジネスだってできそうなものだ。

 あと、今時紙に書いて後で人が集計するって、どれだけ無駄なことをと思いました。電子投票にしないのは明らかに異常だと思う。

 なんだかんだいっても、政権交代が起こって少しワクワクします。