Dimension.

 次元のことを考えると変な気分になる。
 ここで次元と言っているのは、僕達の世界が仮に3次元の空間に1次元の時間を足した4次元だとして、じゃあ5次元って一体なんだ?みたいな話ではありません。僕達は3次元に空間という特別な意味を持たせたがるのでこういう話が時折出てくるけれど、次元というのはある状態を指定するために必要な変数の数のことに過ぎない。たとえば量子力学では無限次元の複素ベクトル空間(ヒルベルト空間という立派な名前が付いている)の中で状態を指定するけれど、それは別にベクトルの成分が無限個というだけで、なんかハイパーな宇宙空間でどうこうという話ではありません。
 閑話休題
 僕が今気にしているのは、長さの次元、重さの次元、時間の次元、といった所謂「単位」のことです。
 最近、これら「単位」のことが気になって仕方ない。

 小学校で習ったような気もするけれど、「単位」の異なるものは足し合わしたりできない。たとえば水が10リットルとリンゴが10個あって、水とリンゴを足したら10+10=20という計算はナンセンスだ。そんなの当たり前じゃないか何をわざわざと子供の時は思っていたけれど、大人になると実はここには大きな何かが潜んでいるような気がして気持ち悪い。

 単純な3次関数、

 f(x)=x^3+x^2+x ("^"で何乗というのを表しています。x^3はxの三乗です)

 を数学ではなく物理として使うとき、もしもxが距離の変数だと即座に関数は破綻する。三乗の項は体積、二乗の項は面積、一乗の項は長さで、そんなものを足し合わすことはできないからだ。だから物理で関数を使うとき変数は無次元のものにしておく必要がある。
 
 これはものすごく当たり前のことだし、全く持って納得の行くことだけど、微かな違和感もやっぱりあって、それは単位や次元というのは一体なんだろうというものです。