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 このところ2回ほど町山智浩さんについて触れましたが、僕がだいたい毎日チェックするブログは内田樹さんのと町山さんのと、あとホリエモンのブログです。ホリエモンのブログを読んでいるというと時々嫌な顔をされることがあって、まあ嫌な顔をされるのも理解できなくはないけれど、僕はホリエモンの考え方にかなり高い割合で賛同します。金の亡者だというイメージは明らかに間違っていて、権力者や既得権益層に洗脳抑圧されてその支配下で人生を送るよりもちゃんと考えてやりたいことをした方がいいんじゃないの、というのが最も基本的な彼のスタンスだと思う。僕達は想像以上に自分たちが置かれている押さえつけられた状況に無自覚で、そこに穴を穿つようなことを彼がシンプルに明快に言うので、だから結構多くの人が堀江貴文という人を嫌うのではないだろうか。

 これもこのところ書いている"The Yes Men"の話で、ネタばれになるので困る人は読まないでほしいのですが、イエスメンの二人がWTOの人間に成りすましてニューヨークの大学で講演したとき、彼らの「飢餓問題解決の為、先進国の人々のウンコをリサイクルしたウンコバーガーを途上国のマクドナルドで売る」という意見に腹を立てた学生達が「俺たちは今人間相手の話をしているんだ、貴様は途上国の人々を家畜扱いするのか」と言った。多分これこそイエスメンが望んでいた反応だったのだと思う。「すでに我々は途上国の人々をこき使って家畜以下のもののように扱っている」と彼らは答えた。学生達はブーイングして物を投げたりするしかなかった。

 僕達の豊かな生活が途上国における多大な犠牲の上に成立していることは明らかで、彼らはブーブー言って物を投げるしかできなかった。僕達はブーイングもせずに黙って俯いている。僕達は矛盾とジレンマを抱えている。もしくは強い物が弱い物から搾取するのは当然のことだと開き直るか。

 イエスマンフィンランドでこれもWTOに成りすまして講演したとき、現代の途上国における労働者のことを実に的確に表現している。
 フィンランドで奴隷が許されていると仮定して、奴隷を一人持つことにどれだけのコストが掛るのか、最低限の衣服代と1日ハンバーガー2個の食事で計算し、その後にこの算出した奴隷維持に必要なコスト以下で途上国において労働者を雇っていること、この場合一応賃金を払っているので奴隷ではなく労働者と呼べること、現地採用なので無理矢理連行したりする必要がなく自然に見えること、子供もこき使えること等を並べ立て、現代にも見えにくいだけで奴隷はいるのだと主張している。

 僕は日本に生まれて日本に住んでいる。
 本当はこの後に日本のことをたくさん書いたのですが、あまりにも過激になったので消しました。とても単純に、日本人の労働量と生産されるもの、各労働者が手にするものなどを見ると、僕達がどういう社会に生きているのか一目瞭然だと思う。