camera. camera. camera.


 去年の夏、桂川の河原で七面鳥の丸焼きをしたときの写真を、Oがやっとくれた。昼下がりから初めて、ビール片手に花火をする夜の風景に到るまで、移ろい行く太陽の光と色彩を、彼のニコンは実に的確かつドラマティックに捕らえていて、フルオートでこんな写真が取れるなんて一眼デジカメはすごいなと改めて思う。
 写っているのは奥が僕で手前がOで、この写真を撮ったのが誰だか覚えていないけれど、2人とも普通に動いていたし、夜のこの暗さだし、後ろで上がっている花火とは強いコントラストがあるし、結構な悪条件で誰かがさっと撮ったのにこの仕上がりとは(ぶれてるけれど)。

 僕は昔ペンタックスSPを持ち歩いていました。TTLの針とにらっめこしながら絞りを開けたり締めたりして、PLとか黄色とかフィルター選んで、ピント合わせて、フィルム選んで。それはそれで勿論面白かったし、好き好んでやっていたわけですが、こうしてテクノロジーの進化を間の辺りにすると、すべてが実に昔じみて見えてくる。

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 映画「マイ・アーキテクト」を見ました。
 劇場公開のときに見に行くつもりで忘れていた作品です。20世紀最高の建築家ルイス・カーン(もちろんコルビジュエもミースもライトも)の足跡を、その息子が辿るドキュメンタリー。作品としては退屈ですが、カーンの建築をときどききれいに撮っていて、実物を見に行きたくなります。とはいうものの、建築を写したカットもあまり多くはなく、大半はカーンの持っていた3つの家族にまつわる少しややこしい話であまり面白くはなかった。
 ただ、やっぱりカーンは何かを超越した建築家だということを再認識させてくれました。僕はもう建築熱は冷めているけれど、ソーク生物学研究所とバングラディッシュの議事堂は是非見たいなと思う。
 終わり近くに挿入されたカーンの言葉。

「最後に一つだけ言っておきたい。
 過去にあったものは常にあり、
 今あるものも常にあり、
 未来にあるものも常にある。」