fractal-based computer graphic/real world.

 ここ数日、植物の見え方がおかしい。冬が来て木々が葉を落とし、その枝をくっきりと見せるようになったせいかもしれない。どう頑張っても今までのように「自然な形」に見えないのです。どうしてもフラクタルを代表とする数学的な形であるようにしか見えない。京都盆地を囲む低い稜線を見渡しても、どうみても数学的な形にしか見えない。まるでCGのようだ。

 フラクタルというのは今となっては少し古いくらいの概念だし、僕はそれらのことを随分昔から知っていた。だから、ときどき木々を眺めて「フラクタルだ、複雑系だ」と思うことはあった。でも、ここ数日はもっとビビットで、木や山を見るとドキリとして怖くなる。がんばって複雑そうに見せかけてるけれど、それはあまり成功していないなと思う。まるで幼稚園児の工作を見ているような気分です。背後に広がる人工の街がとても複雑なもので自然なものに見えて、その手前に立っている木が、現実世界に挿入されたコンピューターグラフィックにしか見えない。何かの手違いで世界がそこだけ割れて、背後の数学がこっちの世界に流れ込んできたみたいだ。研究室の窓の前にある木の枝の形と氷に入ったクラックの形の違いが分からない。分からないというのは言いすぎだけど、「どうせ同じ人が作ったんじゃん。もうちょっと工夫したらいいのに」みたいな感覚があります。

 こんな奇妙な感覚は生まれてはじめてのことです。どうしたんだろ。