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 前にも同じことを書いたけれど、ときどき同じことを繰り返しているような気分になることがある。遠い昔に一度人類は全く同じ歴史を辿り絶滅して、そしてまた始まって同じことをしているような。そうか、一度じゃないや、何度も何度も、寸分違わない歴史を、今日買ったソフトクリームの微妙な形まで同じ歴史を。そんなとき、では僕達はどこへも行けないのか、と閉塞感を持つと共に、何度も同じことを繰り返す中に安堵と親しみを感じたりもする。きっと別にどこへも行きたくなんてないのだ。

 まだ何もしていないので、時間ができてから後日きちんと書きますが、電磁波過敏症というのはまだ医学的、あるいは科学的に認知されていないようですね。WHOのホームページにもそう書いてありました。
 でも、電磁波と症状の因果関係を調べるなんていとも簡単なことに思えるし、いくらか疑問があるので研究している病院に聞いてみたいと思う。そして、もしもただの怠慢で因果関係を示す実験をしていないのだったら僕がしようと思う。

 先日、自転車に乗っていたら、道路で工事か何かをしていたおじさんの巻き取っていたホースが僕の肩に当たった。彼は即座に「ごめん」と謝ったのに、僕は何も言わないで睨みつけた。自分でも驚いたことに、僕は無礼極まりなかった。それだけではなかった。恐ろしいことに、僕はたぶんこのまま行けば彼の巻き取っているホースがぶつかるかもしれないな、ということを状況から読み取っていた。だから、それは多分僕の計画的犯行だったのだ。最初に道の真ん中で回りに注意を払わないで作業している彼らを見たとき、僕はたぶん勝手に腹を立ててわざとホースがぶつかるかもしれないところを通り、案の定ぶつかって、そして睨みつけた。結局、僕は睨みつけたかっただけなのだろう。どうしてそんなことをしたのか分からない。この日僕は特に機嫌が悪かったわけでもないし、もしかしたら元々これくらい性格が悪いのかもしれない。
 そのあと、良心の呵責と深い自責の念に苛まれながら大学へ向かった。途中で謝りに戻ろうかとも思ったし、そうすればよかったけれどしなかった。研究室でOに、さっきこんなことをしてしまった、と話したら「そうか、それは悪い連鎖のはじまりだったりしてね。彼はもう他の人にホースがぶつかっても謝らないようになったかも」と冗談ぽく彼は言った。まさにそれは真実だ。彼は不機嫌に今日の残りを過ごし、そのとばっちりを誰かが受け、さらにその人のとばっちりを誰かが受けて、という風に僕がはじめた悪意の連鎖は世界を回る。誰か心の広い人がそれを断ち切るまで。
 次の日、同じ場所を通ったけれど、もう工事は終わっていた。