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 そういえば、先週の金曜日は大学の工房で溶接講習を受けました。
 学校でできる溶接は、「被覆アーク溶接」「MAG溶接」「TIG溶接」の3種類で、一応3種類とも扱いましたが、思い通りに溶接を行うにはかなりの熟練が必要だな、というのが実感で、かなり難しかったです。

 特に被覆アーク溶接は、通常一般的に溶接というときに僕達が思い浮かべるもので、溶接棒を電極の先に挟んで、溶接棒と被溶接物との間にできるアーク放電を利用して溶接するものですが、溶接棒はどんどんと短くなっていくのに放電の為のギャップを一定に保ちながら溶接位置を変化させなければならないのでかなり難しい。TIGとMAGはそれに比べたらとても楽で、特にTIGは扱いが楽で、もしも溶接をするならTIGがいいなと思う。

 僕はこの日初めて被ったのですが、溶接の時は放電がかなり眩しいので、安全面も考えて遮光面というものを被ります。取っ手付きの大きなお面みたいなやつを鉄工所の人が良く左手に持って使っていますよね。あれです。サングラスみたいな視界になるのだろう、と思っていたら大間違いで、あれを着けると真っ暗で何も見えません。アークの放電光ではじめて、自分の作業をしている手元がうっすらと見えるようになります。遮光面はアークを直接見ないために被るので、当然アークが発生する前に被らなくてはなりません。ところが、アークがないと何も見えないわけです。アーク溶接では、最初に軽く溶接棒と被溶接物を接触させて放電の元を作ることが必要で、それにはとても微妙な手の動きが要求されます。しかし、それを行う間は何も見えないので手元の感覚だけで作業をしなくてはなりません。作業の一番微妙なところが見えないなんて、こんな理不尽な話があるでしょうか。

 MAGで二つの鉄板をくっつけたとき、最初に仮付けをするときは「眩しいけれどちょっと我慢して」ということで一瞬裸眼で閃光を見る必要があった。近くでみるとすごい眩しさで、そのあとに遮光面を着けようものならしばらくは残効で何も見えない。

 それで、僕は思ったのですが、放電が始まる前にも、放電と同じくらいの明るさの照明で作業する手元を照らして、最初からずっと遮光面は着けたまま、ということにはできないのだろうか。閃光を直視しすぎると、今は大丈夫でも夜寝るときに涙が出てきて止まらなくなる、という話だけれど、それなら一瞬たりとも見ないほうがいいに違いない。

 今回溶接の経験をしたことで、今までの溶接のイメージは吹き飛んでしまいました。なぜもっときれいに溶接しないのか、といつも思っていたけれど、今は同じものを見てもあれだけきれいに溶接するには相当の腕前がいるな、と思います。それに作業自体、ガスは出るし(マスクがすぐに茶色くなる)、スパッタは熱いし、電圧やガスの流量を調節しなくてはならないし、やはり金属を扱うのは大変だなと思いました。