Lucy in the Sky with Diamonds.

 昨日ティモシー・リアリーのドキュメンタリーDVDを見た。
 ティモシー・リアリーのことは大体は知っていた。でも彼の動く映像を見たのは初めてだった。ドキュメンタリーには古い時代に白黒映像で撮られた若い彼も、1996年にカラーで撮られた彼の死と首の切断も両方が収められていた。あるいはこれがリアリーのドキュメントではなくても、人の一生を眺めるというのは強烈な体験だろう。僕は見終えた後しばらく動くことができなかった。

 ティモシー・リアリーというのは大雑把に説明すると、LSDを擁護してハーバード大学を追放されたサイケデリックカルチャーの中心人物です。

 "Turn on, Tune in, Drop out"

 という言葉がスローガンとして使われた。LSDを使って精神を成長させてもっと良い社会にしようというようなことを彼は生涯主張し続け、その主張はビートルズ(たとえばLucy in the Sky with DiamondsはLSDを表している)を代表とした多くの若者に受け入れられたが、もちろんアメリカ政府には目の敵にされて逮捕される。

 僕は彼の意見に全面的に賛成というわけではないけれど、ティモシー・リアリーという人自体はとても魅力的に思う。

 彼の死に行く姿はテレビで毎日中継されたらしい。彼は自分の死までパフォーマンスにしてしまい、彼の意思に従い、頭部を冷凍保存する為、死の直後に首を切断しそれをガラスケースに収めるところまで映像で全部記録されている。僕は人が死んで首を切断されるところをはじめて見た。それはいささか衝撃的な映像に違いない。でも、ティモシー・リアリーという人の冒険心をいくらか知ったあとではそのシーンにすら違うものに見える。客がいなくなると一人で死を怖がり震えていたというけれど、彼は外面的には「死は人生で最も興味深いものだ、やっと死んだらどうなるのかが体験できる」と言い続けた。

 人が生まれ育ち老いて死んでいくという事実を、僕は本当は正面から受け止めることができない。それはあまりにも強力なものだし、あまりにも不可解なものだ。