brand-new.

 ブラウザを立ち上げると、どこかの保育園だかで指しゃぶりを辞めさせるために保育士が園児の指にカラシを塗った。ひどい。というようなニュースが載っていて、違うサイトを見ているときにもそのニュースは目に飛び込んできた。これは、かつて僕の両親が僕の左利きを治そうととった手段と同じだ。ひどいといえばひどいのかもしれないけれど、はっきりいってどうでもいいようなニュースだと思った。

 レトロ趣味が消えました。
 考えてみれば僕は随分と長い間「古い物がいい」という在り来たりな趣向を持っていて、携帯電話はみんながカラーのディスプレイを使っているときにまだ白黒だったし、バイクは僕が生まれるよりも昔に作られたものに乗っていたし、カメラは当然フルマニュアルの古いペンタックスを使っていました。
 でも、最近そういった傾向がなくなってきたのです。

 最初に表れてきたのは服装においてだと思う。僕は古着屋さんへ行って60年代や70年代の服を探して良く着ていたけれど、ここ2,3年はそういった服を着なくなっていた。
 新しいピカピカの自転車を買って、毎月のように修理の必要なバイクに乗るのを止めた。電気系が6Vで部品も段々と手に入りにくくなった。
 ずっと使っていた携帯電話を最新式に換えた。

 バイクが壊れて立ち往生することも、携帯のバッテリーが通話1分でなくなることもなくなって、生活は快適できちんとしたものになった。

 それから遂に、5年以上使っていたペンタックスSPの代わりに、動画も撮れるデジタルカメラを持ち歩くことにした。
 (なのでこれからは時々動画もアップしていこうと思います)

 いつだか忘れましたが、フォルクスワーゲンニュービートルが発売されたとき、僕は「やっぱり昔のやつの方が圧倒的にかっこよかったな」と思ったのですが、今ではニュービートルが欲しくて仕方ありません。
 レトロな車ではなくて、きちんとエアコンが効いて、高速で100キロ出しても夜中の山道を走っても不安にならなくていい最新の車が欲しい。

 これらは、実は友人Tの影響でもあるのですが、僕としてはだんだんと大人になってきたのかもしれないな、と感じて日々を過ごしています。


2007年8月29日水曜日

 Sちゃんに半ば強引に貸された「アヒルと鴨のコインロッカー」を読んでみる。小説を読むのは久しぶりのことだ。物語に入って出てくると、僕は自分がどこか全く別のところに行ってきたのを実感する。「物語というのはこの世のものではない」という村上春樹の言葉を思い出す。
 昔はよくもこんなに重たい体験を毎日のように繰り返していたものだと思う。最近ようやく、多分去年の夏に村上龍の「半島を出よ」を読んだことが大きいと思うけれど、読書というのが、特に小説を読むというのが特別な行為であると分かってきた。文字を読んで映像を浮かべるから想像力がつく、とかそういった下らない次元での話ではなくて、もっと特別なものだ。