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 ハリウッド映画ばかり見てやろうと思う。軽薄なポップソングばかりを聴いてやろうと思う。新しい携帯電話を自慢してやろうと思う。マクドナルドが世界で一番おいしいって言ってやろうと思う。あの人の前では。物事の本質がジャン・リュック・ゴダールとかマイルス・デイビスとかスローライフの中にあると信じているあの人の前では。芸術なんてゴミだって言ってやろうと思う。音楽なんてクズだって言ってやろうと思う。コミック雑誌を読んでやろうと思う。美術館の帰りに電車の中で実存主義についてフランス語で書かれた本を読むあの人の前では。
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 待ち合わせの本屋で雑誌をパラパラ捲っていると秋山さんが載っていてびっくしりた。日本人ではじめての宇宙飛行士だ。彼は当時TBSかどこかの記者で、宇宙に出張取材に行ったわけだ。正式な宇宙飛行士ではなくジャーナリストが宇宙へ行くというのは世界ではじめてのことで、まだ子供だった僕は奇妙な気持ちで彼が宇宙船の中から送ってくるリポートを見ていた。
 今、秋山さんはどこだかの田舎に住んでいて、そして自給自足の農業生活をしているとその記事には書いてあった。宇宙へ行くという体験は「いってきました」ではすまされないものだった。と彼は語っている。
 彼はその昔宇宙へ行った人だ。そして今は田舎で大地に近く暮らしている。なんだかそれはとてもしっくりくることのように思われた。

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 数日前、50から60万だという数字を知って一瞬呆然となった。
 日本で1年間に保健所で処分される、つまり殺される犬や猫の数だ。
 僕達はたくさんのものから目をそらせて生活していて、だけど本当は信じられないようなことがたくさん起こっている。

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2007年2月28日水曜日
 昔、中国人のIが「ここは僕が日本で食べた中華料理屋の中でベストだ」と連れて行ってくれた中華料理屋へ行く。なんだか奇妙な雰囲気の店なので、I君と恐る恐る行ってみようかと思っていたのだけれど、I君が色々な人に声を掛けていてくれたので結局7人で行った。改めて行ってみるとそんなに変な雰囲気でもなかった。
 帰りにYと合流してぐるぐるカフェでチャイを飲んで帰る。

2007年3月1日木曜日
 図書館が改装するのかなにかで、たくさん椅子や机があまるということで、N先生の指揮下I君やS君達と図書館まで椅子や机を調達しに出向く。3月の初日に相応しく、春うららかな陽気のなかで机を運びながら大学の中というのは長閑だなと思う。

2007年3月2日金曜日
 夜にAと東山まで歩いて行くと、途中で4匹のシーズーを散歩するおばさんを道路の向かい側に見つけ、Aが「わあかわいい」と言うや否や「渡ろう」と言うので道路を横断して一直線にシーズーを触りに行く。ディズニーランドのお土産クッキーをもらう。その帰りにやっと僕は延滞していた本を図書館に返す。

2007年3月3日土曜日
 I君の引率下みんなでサントリーウイスキー工場を見学する。工場内の見学は思ったよりもあっさり終わったけれど、全体的にとても丁寧で心地よかった。無料の試飲と、さらに有料の試飲で昼間から少し酔っ払う。
 駅前の何とかという店で昼ごはんを食べて大山崎山荘美術館へ行く。僕はここは二回目だけれど、はっきりいって美術館としては成立していないと思う。建物は悪くないけれど、展示物が邪魔だと感じる美術館はあまりない。