1000.0d0 double precision.

2006年10月31日火曜日

 眼下に広がる京都盆地の夜灯りを眺めながら、寒さに半分凍えて話をした。草叢へ魔法のように大切なピアスを片一方投げ込み、その長い行方を想う。たとえば1000年後まで、それはここにあり1000年間の変遷を見続けるのだろう。街灯りに目を戻し、1200年前を見る。この光の粒を、昼間には僕は自転車であそこからここまで、こんなに遠く走るのだ。4年前に住んでいた場所も、8年前に住んでいた場所も、長いありとあらゆる時間と場所がここには含まれている。僕はこの街に随分長く暮らしている。
 山を下り、僕らはコンビニエンスストアでおでんを買って食べた。今は21世紀の初頭なのだ。レモンドロップだって、いくらでも舐めるのだ。膨らみすぎた上弦の月は低くなり、ススキの背は高くなりすぎて、僕たちの足元はいささか不安定で、だけど、肌触りの悪いマフラーとバスローブとウィンドブレーカーは守るだろう。手にした灯りは導くだろう。
 暗闇に目の慣れた僕たちのタフネス。
 朝の日差しが上り、これのことかと全ては説明されて、ポップコーンのポップさに照れ返って鳥の足と爪を眺める。