チェリーコーク&エレクトリックウォーター。

 キャンプへ行こう、という話が上がっているので、インターネットを駆使して色々なキャンプ施設を調べています。

 ロケーションとしては必ず海の傍が良いので、京都から車で比較的簡単に訪ねることのできる海辺を、つまりは瀬戸内や日本海紀伊半島の辺りを眺めていました。
 どうして海が良いのかというと、僕が思うに山の中のキャンプ場はなんとなく胡散臭いところが多いからです。「〜〜ワクワク村」とか「アドベンチャー〜〜王国」とか「ガリバーなんとかアドベンチャービレッジ」とか、そういったところにはへんてこな子供向けの設備が設けられていて、「なんとかアスレチック」とか「なんとか巨大滑り台」とか、そういった誤解された自然としての人口物がたくさんあったりします。川は流れているけれどコンクリートで子供が安全に遊ぶような造形が施され、焚き火はもちろん禁止で、あと僕はとても重要なことだと思うのですが、土が汚い。こんなところにキャンプを張れと言われても困るな、というような土の場合がある。

 対して、海辺の場合はこれはもう海があるんだから余計なものは必要ないだろう、というような態度というか傾向がなんとなくあるのではないかと思うのです。もっとも、僕はキャンプをもっぱらキャンプ場ではないところで張っていたので、実際のキャンプ場へはあまり行った事がないのですが、でも多分そうなんじゃないかと思う。

 海がいい、ということで、日本海の辺りを調べていると、なんとか半島の先になんとかキャンプ場という良さそうなところがあったのですが、隣で地図を広げていたI君が「でも、ここ原発あるね」というので、「ふーん、そうか原発か」と気楽にグーグルアースでその半島の衛星写真を拡大していくとそこには実に巨大で重々しい灰色の原発が写っていました。地図上に文字で「なんとか原発」と書かれているよりも、写真で見る原発は異常に迫力が強くて、海岸に戯れていても後ろを振り返るとそこには原発が見える、という恐々たる可能性が考えられるのでそこは即座に却下しました。

 I君が言うに、T君のおばあさんは日本海原発の近くにあるそうで、T君の話によると、「原発ができてから魚が減って、さらに変な魚が獲れるようになった」ということです。

 昨日は夜中にMとKちゃんとファミレスで話をしていたのですが、琵琶湖周辺では繊維工業、ひいてはそれより派生した化学工業が盛んだ、という話になり、僕が冗談で、「そうか、じゃあもう琵琶湖では絶対に泳がない」というと、滋賀県出身のKちゃんは「琵琶湖で背骨の曲がった鮎を見るようになった」と言った。

 こういうことを聞くと、僕は高校の英語の教科書に載っていた話を思い出さざるを得ない。
 それはどこから引かれてきた文章なのか分かりませんが(たぶん”沈黙の春”だと思う)、「ある湖で、獲れる魚の量が減って、奇形の魚も見つかるようになった。そうして、変だね、といって過ごしていると、やがて周囲の森に住むキツネに奇形が現れ、その数も減り、最後にはその湖の周辺では誰も暮らせなくなった」という話です。

 今、日本海や琵琶湖で起きていることと全く同じだ。
 僕たちはもっとこのことに関して騒ぐ必要があるのではないかと思う。

 日本海のことはよく分からないけれど、琵琶湖へは去年の夏ひさしぶりに訪れてあまりに臭いのでショックを受けた、立派なショッピングモールもホテルも、それからたくさんの住宅があって、一見すると住み良い街なんだけど、でも臭い。僕にはどうしてこんなに臭いところに平気で人が住んでいるのか理解できなかった。

 琵琶湖の水質を改善できないかと思う。
 近年、いくつかの自治体では微生物を使ったり、植物を使ったり、町内レベルで川の浄化を図っていて、それらは実際に効果に成果を上げている。僕は専門家ではないので、たくさんのことを調べたり、あるいは経験者や専門家の協力を仰ぐ必要があるけれど、さらに人生を捧げて琵琶湖をきれいにしたい、というようなそれほどの熱意も持ち合わせていないけれど、ひょっとしたら意外と簡単に水質改善はできるのではないかと思うし、いくらか資料を当たったり、人に吹聴して回ろうかと思う。昨日もこういう話をしていたらKちゃんが「私はもともと琵琶湖をきれいにしたくて大学に入った」というので吃驚した。たくさんの人に言いふらすのはきっとなんらかの効果があると思う。