空。

 空を飛びたい。
 何のパレードかは知らないけれど、地下道から出ると御堂筋では大掛かりなパレードがやっていた。そのせいで、地下から地上に出る階段では人が詰まっていて、僕らは階段を昇るのにいくらか手間取った。僕はパレードよりもパレードの頭上に開けた空間が気になる。

 昨日はKとなんばのキリンプラザ大阪で行われている「スカイ・ハイ」展に行ってきた。八谷和彦さんと篠田太郎さんと石川直樹さんの、空をテーマにした3人展。一番見たかったものは八谷さんの作っていらっしゃる一人乗りの飛行機で、これは風の谷のナウシカのメーベを実際に作ってしまうというプロジェクト。僕は天才的な作品の他に、誰もが欲しいと思っているのに無理だと思って作らないものを実際に作ってしまう八谷さんの姿勢から多くを学んだ。しかも、彼はアーティストであってエンジニアではないけれど、たとえば今回のメーベなら飛行機の専門家に力を借りるというように、うまい具合にチームを組んで新しいものを作り出してしまう。これはとても大切なことだと思う。人は一人でなんでもかんでもできるわけじゃない。

 冒険家であり写真家でもある(というか植村直己さんにしてもそうですが、冒険家というのは大抵同時に優れた写真家でもある)石川直樹さんのことを僕はとても昔に本で読んで知った。その本は世界9カ国くらいの国から選ばれた若者が一つのチームを組んで北極から南極まで冒険の旅をするというもので、企画だけでも既に素晴らしすぎて、僕はなんとなく悔しくてその本を買うことはなかった。それから、後に彼はカヌーイストの野田知祐さんに師事していたことを知ったのですが、僕は野田さんの本がとても好きで、高校生のときに愛読していたので、なんとなく親しみを感じた。
 会場には、冒険の旅に出ている石川さんからダイレクトに電話が掛かってくるので、ベルがなったら電話をとって下さい、というコーナーがあったけれど、でも彼はこのあいだ事故を起こしてしまって今はその電話は鳴らないみたいだった。話せたら良かったな、と思う。それから石川さんのことがすこしだけ心配になる。

 キリンプラザで派手なおじさんと、そのお付きの人みたいな人がいるな、しかもなんか手振ってる、と思っていたらKが「あれはデューク更家だ」と教えてくれた。

 大阪へ出る前にココン烏丸に寄ったのだけど、そのときにKの持ってきたフライヤーを見ると、それは建築の展覧会のフライヤーで、その建築家はキリンプラザ大阪を作った人だった。それから、御堂筋商店街で人の多さに辟易として、安部公房箱男の話をしていると、その後入ったビレッジバンガード箱男が平積みになっていた。ちょっとした偶然。

 この日はほんの少しだけ買い物をして、でも僕は何も欲しいものがなかった。服なんてあればあるほどいいと思うけれど。 

この地球を受け継ぐ者へ―人力地球縦断プロジェクト「P2P」の全記録

講談社

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