a red bicycle.

 僕の自転車は確かに赤いけれど、これは僕の自転車についての話ではない。もういくらか錆びてしまった赤い自転車が、僕のよく通る道に捨ててあって、僕はこれからその自転車のことを書こうと思う。
 それは、単に道端に捨てられた1台の放置自転車であり、何も特別なところはない。多少レトロで、僕はその自転車をはじめて見たときにはちょうど自転車を持っていなかったので、それを失敬しようかどうか迷っていた。でも、友達がゴミ捨て場から拾ってきた自転車に乗っていたところ、占有離脱物横領の罪で捕まり、いろいろと面倒だったので僕は自転車くらいは正規のルートで手に入れることにして、その自転車をあきらめ、代わりにピカピカした赤い自転車を買った。

 いつまでもその自転車はその場所に置かれたままで、もう半年は軽く経過しているのだけど、一向に誰かに処分される様子もなく、誰が破壊するのかは分からないけれど、だんだんとカゴがもげてきたり、タイヤのチューブが飛び出したり、チェーンが外れたり、経年変化ではなく人為的に破壊が進んでいて、僕はそれを見るたびにいたたまれなくなる。僕はこの自転車を失敬して乗り回すべきだったのだろう、やっぱり。

 道端に山のように落ちている自転車は、どのようなルートで処分されることになっているのだろう。みんなが自由に乗れるようにすればいいと思う。

 と思ったので、京都市に聞いてみることにします。

 自転車の話を書き始めたとき、何も書くことは決まっていなかったのですが、少なくとも一つ、自転車のことを京都市に聞いてみるということを思い付いたので、書いて良かったです。