パパイヤ。

 何度か前にも書きましたが、最近、ものすごく僕は研究に向いていないような気がしてきました。やっぱり会社でも作ってワクワクしながら暮らしたいなと思う。作家にもなりたい。
 みんなで何かを作ったりすることと、小説を書くこと、この二つならアドレナリンをたくさん出しながら行う自身がある。テンションを上げて、寝食を忘れることができる。

 締め切りに間に合わせようと、やっきになって書いたせいで、読み返してみても随分ちゃちで、結局締め切りも過ぎてしまって破棄した小説があるのですが、僕はたぶんこれを書いたときの追い込みでは3日間一歩も部屋から出ていないし、一日3時間くらいしか寝てないし、料理も時間の無駄なのでカロリーメイトとかお菓子しか食べていない。

 ずっとパソコンのキーを叩いていた。自分の作った世界にうまく入り込んで、僕はその世界で半分は生きていたんだと思う。どこかに客観的な自分が残っていて、今、僕ってなんか変な状態だな、こんな風になることってできるんだ、と感動しそうになった。
 それまで、こんな風に自分が頑張ったりできるのだとは知らなかった。というか、一度を除いて、僕は頑張ったことなんてそれまでの人生でなかった。

 その一度というのは昔スケートボードに凝っていたときで、オーリー、つまりスケボーに乗ってジャンプする術を獲得したとき、この時に、自分の頑張りと、一見不可能なことでもやればできるのだ、という感触を掴んだ。
 スケートボードに乗ったままジャンプするなんて、先人がやっていなかったら絶対に思い付きもしない。なぜなら、自分は単に板の上に乗っかっているだけで、べつに足がスノーボードみたいに板にくっついたりしているわけではないし、板の上で自分が飛んでも板は絶対に浮きあがりそうにない。

 でも、ビデオの中で先人達は驚くべき高さを飛んでいた。
 それを見て、「できるのだ」ということを知った僕らはその日から必死にジャンプする。

 できるようになってみれば、特になんてことはない。
 でも、自分が明らかに新しい次元に突入したことを僕は知った。

 研究でこんな状態になることは、どうにもなさそうで、いい加減自分に見切りを付けた方がいいのではないかと思ったりする。
 どうにもワクワクしない。