リサは夏が待てなくて3歩だけ前に出た。

 JRに乗ると、トイレの付いている車両だった。

 僕は誰かがこの中に入って用をたすのを見なかったけれど、でも時々は誰かが、このペラペラな壁の向こうで人類の抱える生理的な問題を解決したりするわけです。

 そして、まあ当然だけど彼や彼女の廃棄物は、僕の乗っているこの車両のどこかに一旦ストックされる。つまり、僕はそういうものと一緒に時速80キロで京都の街を駆け抜けているわけです。

 もちろん、人間の排泄物というのは、この世界のいたるところに存在している。
 僕のお腹の中にも、あの人のお腹の中にも。
 僕は電車に乗っている人々を見た。
 それが全部、人間ではなくて排泄物の詰まった袋だったら、僕はあまりこの電車に気持ちよく乗ると言うわけにはいかないな、と思う。
 でも、まあ普段は気持ちよく電車に乗っている。
 人間と言う形のカバーは偉大だと思う。