革命としてのFusion360

IT革命、なんてもうとっくの昔に死んだ言葉だろうか。革命という言葉には「物凄く急激な」というイメージがあって、その「急激」の度合いは視座の取り方によって変わってしまうから、たとえば10年とか20年で起こった変化のことを「革命」と感じるのは、…

循環する有機物とバスルームの羽虫

排水口の周りなんかで時々見かける、小さな羽虫がいる。丸いような三角のような形の灰色のやつだ。この虫の名前はチョウバエと言って、水周りを放っておいて汚泥のようなものが溜まってくるとそこに発生する。新しい部屋に引っ越したとき、お風呂が変な設計…

動的なIoT、静的なIoT;人工知能とチップを埋めないIoT

今日、IoTのことが話題に登って、そんなに話をしている暇はなかったのだけど、最近IoTについて自分がどう思っているのかが少しまとまった気がする。 IoTのちょっと未来を考える時、真っ先に頭に浮かぶのはアマゾンがシアトルに作るだか作ったかだかのコンビ…

世界中の家:タイムマシンを呼んだこと。

はじめて絶望したのは小学生のときで、小学生には無限の可能性がありそうなものだけど、絶対にできないことがあると気が付いた。 それは「世の中にある全ての家の中を見る」ということだ。 新しい友達なんかができて、家に遊びに行くのがとても楽しかった。…

定住時代の終わり;HOUSEから「ubiquitous bNs」へ

トレーラーハウスを買おうと思っているという話を聞いたのと、物件を見に久しぶりに不動産屋へ行ったのが合わさり、住む場所について色々考えたり思い出したりしている。 僕は今のところは賃貸で物件を借りて1年とか2年、普通にそこへ帰る生活をしているけ…

この世界の無限の計算量

よく覚えていないので間違えているかもしれないけれど、たぶん大江健三郎がどこかに子供時代の思い出を書いていた。学校でドキュメンタリー映画みたいなものを見る機会があって、その中に樹の枝や葉がアップで撮られたシーンがあった。画面の中で枝や葉が大…

スケール

本屋をウロウロしていると、ポリアという多分昔の数学者の書いた「いかにして問題を解くか」という本が平積みになっていて、その隣の隣に、「いかにして問題を解くか」をざっとまとめましたみたいな本があった。その本は僕が20歳くらいのときにたまに読ん…

Ruby:p

もしも今プログラミング言語を1つ学ぶならPythonがいいなと思っているのだけど、ちょっと理由があってRubyの勉強を始めた。 僕のプログラミング経験は非常に限られていて、今までに触れた言語はCとFortranのみだ。それもCは大学に入った頃、20年近く前に…

カロリーメイトアンバサダーミーティング;コピー:ロゴ。

こういったカロリーメイト専用のホルダーも作っているし、こういうエントリーも書いているし、周囲の人にはときどきカロリーメイトの話をするので、僕がカロリーメイトを好むことを知っている人は知っていると思います。最近カロリーメイトアンバサダーにな…

「君の名は」:社会の疲弊とフィクション

何でもない家の前に女の子が1人立っている。彼女は満面に笑みを浮かべていて、その理由は分かる人には写真を見るだけで分かる。家の作りからすると、写真が撮られたのはアメリカのどこかの住宅街で、幸いなことに背後の空は抜けるように晴れている。そうか…

FAB12,深セン: その3

8月10日。 雷雨の音で目が覚めた。起床予定時刻より30分早い。まあいいかとそのまま起きて、窓から雨の町並みを眺めた。通りに人は少なく、まだ車もそれほど走っていない。雨は結構な強さだったが、あちこちをビニルで覆ってパラソルのような屋根を付け…

コーヒーと常識

50日くらいコーヒーを飲んでいない。やめたのかと聞かれたら、やめたわけではないが欲しくなくなった。小説を書いたりするときに、ときどき行くお気に入りのカフェが家の近所にあって、そこは値段が高いこともあってスタバとかマクドナルドみたいに高校生…

FAB12, 深セン:その2

8月9日。朝9時にシェラトンへ。 基本的に午前中は色々なプレゼンテーションを聞いて、午後はワークショップ、夜はパーティーというスケジュールになっている。 この日、午前中のプレゼンテーションで、Fab2.0というものが宣言された。プレゼンターはFabLa…

FAB12, 深セン:その1

2016年8月8日から15日までの1週間、中国の深センに滞在した。FAB12という年に一度開催されるFabLab世界会議に参加する為だ。FabLabというのは、3Dプリンタをはじめとしたデジタル工作機器から金槌のような道具までを備えた工房のようなもので、世界…

台湾旅行記2:歴史と輪郭と現在

「二十歳まで日本人でした」と彼女は言った。70年という長い時間が経過して、20歳の女の子は90歳を過ぎたおばあさんになり、そして僕の隣に座って食堂の説明をしてくれている。70年という時間の重みを忘れさせる程、日本語は流暢だった。「向こうも…

NEXUS5バッテリーマウント作成

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まったくもってダサいのですが、NEXUS5のバッテリーマウントのようなものを作りました。 僕はSIMフリーのNEXUS5を使っていて、古い所為もありバッテリーの持ちが良くない。バッテリーを交換しようかとも思ったのだけど、その程度の改善ではきっと旅行やなん…

起こり、消えた全ての事象の漣

同じ時期にすぐ近くの研究室で博士課程にいた友人が、学位を取った後4年ほどヨーロッパやアメリカへ行って、この春日本に戻ってきた。丸の内で久しぶりに会って話をしていると、彼女は僕が全く思いもしなかったことを教えてくれた。話の発端は、「正しい修…

台湾旅行記1:台北巨蛋(台北ドーム)

もう季節が変わってしまったけれど、4月に1週間ほど台湾へ行っていた。成田から桃園国際空港へ飛んで、バスで台北まで行き、そのあと新幹線を含めた電車で台南、高雄と移動して、高雄国際空港から成田へ戻ってきた。 訪ねてみる前から、台湾というのは、す…

Quartier latin Iterum

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「小学生のときから、ずっと生きるのが面倒だと思っていて、夜寝るときにこのまま目が覚めなきゃいいのにと思ってる」 彼女はとても綺麗な女の子だった。一見、人生には思い煩うことなど何もなく、ただ美しい世界で毎日を謳歌しているような女の子だった。彼…

連載小説「グッド・バイ(完結編)」26

(注)この連載についての説明は第一回目の冒頭にあります。 第13回目までは太宰治が書いたものです。 ・困惑(三) 例のぬらつく部屋に、田島は悲壮な顔で上がった。ああどうか金毘羅様、ここにあって下さい。さもなくば僕はもう生きれません。信心なんて…

連載小説「グッド・バイ(完結編)」25

(注)この連載についての説明は第一回目の冒頭にあります。 第13回目までは太宰治が書いたものです。 ・困惑(二) キヌ子は包帯とガーゼを取ってきて、田島に渡した。もちろん、差し出さるるは右手。 「2000円に負けてあげるわ。」 「高すぎる、そん…

連載小説「グッド・バイ(完結編)」24

(注)この連載についての説明は第一回目の冒頭にあります。 第13回目までは太宰治が書いたものです。 ・困惑(一) 「あら、田島さんじゃないの。」 ドアから顔を覗いてキヌ子が言った。田島は右手を抑えてウグググと気味の悪い声を出しながら蹲っていて…

連載小説「グッド・バイ(完結編)」23

(注)この連載についての説明は第一回目の冒頭にあります。 第13回目までは太宰治が書いたものです。 ・迷走(四) キヌ子のアパートまで一目散と行きたいところだが、田島が人通りのある往来を走れるわけない。あははは、あの人は、あんなに急いで、何か…

連載小説「グッド・バイ(完結編)」22

(注)この連載についての説明は第一回目の冒頭にあります。 第13回目までは太宰治が書いたものです。 ・迷走(三) ないわけない。田島は浮ついたまま金庫を探した。いやいや、よく見ればその辺に転がっていて、なあに見逃しているだけさ。自分に言い聞か…

連載小説「グッド・バイ(完結編)」21

(注)この連載についての説明は第一回目の冒頭にあります。 第13回目までは太宰治が書いたものです。 ・迷走(二) 田島は「オベリスク」の仕事にここ数日精を出している。闇屋からはもう足を洗う。そう決めた。お金はもう十分。闇はもうたくさん。これか…

連載小説「グッド・バイ(完結編)」20

(注)この連載についての説明は第一回目の冒頭にあります。 第13回目までは太宰治が書いたものです。 ・迷走(一) 参宮橋から代々木方面へ、通りを男が歩いている。早い春の夕方、風も冷たく通りを歩く人達の外套もまだ見目重い。黒に焦げ茶色に、カーキ…

連載小説「グッド・バイ(完結編)」19

(注)この連載についての説明は第一回目の冒頭にあります。 第13回目までは太宰治が書いたものです。 ・ 誘惑(四) 「あのですね、えっと、君ね、人間には心がないと言うんですか。」 田島はややギクシャクとして聞いた。キヌ子と話なんてしても、これは…

連載小説「グッド・バイ(完結編)」18

(注)この連載についての説明は第一回目の冒頭にあります。 第13回目までは太宰治が書いたものです。 ・誘惑(三) イヒヒヒ、これはお金も掛からないし、上玉。と田島は思い、その後、戸崎さんと進んで懇意になった。戸崎さんは、田島が文士先生連中から…

連載小説「グッド・バイ(完結編)」17

(注)この連載についての説明は第一回目の冒頭にあります。 第13回目までは太宰治が書いたものです。 ・誘惑(二) 耐えた。よし。快勝。バンザイ。田島は、涼しい美人の酒場を、無事あとにした。これが、真人間の生き方だ。妻も、子も、父がこんな精神の…

連載小説「グッド・バイ(完結編)」16

(注)この連載についての説明は第一回目の冒頭にあります。 第13回目までは太宰治が書いたものです。 ・誘惑(一) 作戦が、良くなかった。初老文士の冗談を、意外に名案なんて藁に縋ったのが悪かった。馬鹿。涙は、もうたくさん。サヨナラは、もうたくさ…

連載小説「グッド・バイ(完結編)」15

(注)この連載についての説明は第一回目の冒頭にあります。 第13回目までは太宰治が書いたものです。 ・コールド・ウォー (四) 「お見舞いに持っていった饅頭を、あなたが食べて、意地汚いケチね、いつも。」 帰りに入った蕎麦屋で、キヌ子が鴉声を出し…

連載小説「グッド・バイ(完結編)」14

(注)この連載についての説明は第一回目の冒頭にあります。 第13回目までは太宰治が書いたものです。 ・コールド・ウォー (三) ケイ子の兄は、予想以上の大男であった。これでは、いざという場合に、キヌ子の怪力も通用しないのではないか。田島は不安…

連載小説「グッド・バイ(完結編)」13

(注)この連載についての説明は第一回目の冒頭にあります。 第13回目までは太宰治が書いたものです。 ・コールド・ウォー (二) こうなったら、とにかく、キヌ子を最大限に利用し活用し、一日五千円を与える他は、パン一かけら、水一ぱいも饗応せず、思…

連載小説「グッド・バイ(完結編)」12

(注)この連載についての説明は第一回目の冒頭にあります。 第13回目までは太宰治が書いたものです。 ・コールド・ウォー (一) 田島は、しかし、永井キヌ子に投じた資本が、惜しくてならぬ。こんな、割の合わぬ商売をした事が無い。何とかして、彼女を…

連載小説「グッド・バイ(完結編)」11

(注)この連載についての説明は第一回目の冒頭にあります。 第13回目までは太宰治が書いたものです。 ・怪力 (四) 「ピアノが聞えるね。」 彼は、いよいよキザになる。眼を細めて、遠くのラジオに耳を傾ける。 「あなたにも音楽がわかるの? 音痴みたい…

連載小説「グッド・バイ(完結編)」10

(注)この連載についての説明は第一回目の冒頭にあります。 第13回目までは太宰治が書いたものです。 ・怪力 (三) 田島は、ウイスキイを大きいコップで、ぐい、ぐい、と二挙動で飲みほす。きょうこそは、何とかしてキヌ子におごらせてやろうという下心…

連載小説「グッド・バイ(完結編)」9

(注)この連載についての説明は第一回目の冒頭にあります。 第13回目までは太宰治が書いたものです。 ・怪力 (二) 「あそびに来たのだけどね、」と田島は、むしろ恐怖におそわれ、キヌ子同様の鴉声になり、「でも、また出直して来てもいいんだよ。」 「…

連載小説「グッド・バイ(完結編)」8

(注)この連載についての説明は第一回目の冒頭にあります。 第13回目までは太宰治が書いたものです。 ・怪力 (一) しかし、田島だって、もともとただものでは無いのである。闇商売の手伝いをして、一挙に数十万は楽にもうけるという、いわば目から鼻に…

連載小説「グッド・バイ(完結編)」7

(注)この連載についての説明は第一回目の冒頭にあります。 第13回目までは太宰治が書いたものです。 ・行進 (五) セットの終ったころ、田島は、そっとまた美容室にはいって来て、一すんくらいの厚さの紙幣のたばを、美容師の白い上衣のポケットに滑り…

連載小説「グッド・バイ(完結編)」6

(注)この連載についての説明は第一回目の冒頭にあります。 第13回目までは太宰治が書いたものです。 ・行進 (四) キヌ子のアパートは、世田谷方面にあって、朝はれいの、かつぎの商売に出るので、午後二時以後なら、たいていひまだという。田島は、そ…

連載小説「グッド・バイ(完結編)」5

(注)この連載についての説明は第一回目の冒頭にあります。 第13回目までは太宰治が書いたものです。 ・行進 (三) 田島は敵の意外の鋭鋒にたじろぎながらも、 「そうさ、全くなってやしないから、君にこうして頼むんだ。往生しているんだよ。」 「何も…

連載小説「グッド・バイ(完結編)」4

(注)この連載についての説明は第一回目の冒頭にあります。 第13回目までは太宰治が書いたものです。 ・行進 (二) 馬子にも衣裳というが、ことに女は、その装い一つで、何が何やらわけのわからぬくらいに変る。元来、化け物なのかも知れない。しかし、…

連載小説「グッド・バイ(完結編)」3

(注)この連載についての説明は第一回目の冒頭にあります。 ・行進 (一) 田島は、やってみる気になった。しかし、ここにも難関がある。 すごい美人。醜くてすごい女なら、電車の停留場の一区間を歩く度毎に、三十人くらいは発見できるが、すごいほど美し…

連載小説「グッド・バイ(完結編)」2

(注)この連載についての説明は第一回目の冒頭にあります。 ・変心 (二) 田島は、泣きべその顔になる。思えば、思うほど、自分ひとりの力では、到底、処理の仕様が無い。金ですむ事なら、わけないけれども、女たちが、それだけで引下るようにも思えない。…

連載小説「グッド・バイ(完結編)」1

前回の投稿に「fridge」という短編小説を載せ、それは太宰治「令嬢アユ」へのオマージュみたいなものでもあると書きました。そして「こういういかにもな文体で何かを書くことはもうないと思う」と書きました。 「fridge」を書いたのは15年以上前のことで、…

カロリーメイトのこと

はじめてカロリーメイトを見た時、一体何なのか分からなかった。カチッとスクエアな箱の中から出てきたのは金属質のピチっとしたパッケージ。フィルムの下から現れたのはこれもやけに四角く成形された物体。食べ物だということだったが、このまま食べていい…

Banksyのこと

Banksy does new yorkの冒頭22分をIID世田谷ものづくり学校で3月6日15時から上映します→ http://setagaya-school.net/Event/15521/ トレーラーの中で「running up to public property and defacing it is not my definition of art (直訳:公共の施設…

シーン32

高畠は若い頃ニューヨークの大学に2年間留学していたらしい。美雪のような田舎の中学生にとってニューヨークというのは世界最先端のオシャレで遠い街というイメージしかなかった。ただ、高畠は最先端でもオシャレでもなく、安物の白いポロシャツと紺のスラ…

just qu-it

金曜日の夜に仕事が早く終わったのだが、村野は嬉しいともなんとも思わなかった。先週末は嬉しかった気がする。先週は楽しい予定があって、今週はそういうものがないというわけではない。先週も今週も忙しすぎない程度に適度な予定が入っていて、それらは全…

広告化社会の繁殖する柔らかな文体

生ぬるく柔らかな文体がネットの発展と広告のより深い浸透に伴い廃屋のカビのように繁殖している。 その文体で書かれた文章を絶対に読みたくはないのだが、不思議なことにとても疲れているときにはその文体で書かれたテキストを読んでしまう。たぶん何も考え…